ご近所の話題

[No.2937] 「虚と実」は、中国の戦術や兵法において非常に重要な概念です

宮城谷正光の中国歴史小説「公孫龍」に、翠千が師の復生から、「剣でも矛でも、虚と実があり、相手に虚を撃たせて、こちらは実で撃つ。実戦では、そうしないと、勝ったという形はできても、死ぬのは自分という事になる、とくどいほど教えられた。」:という部分があります。ここで言いう虚と実とは何のことですか。説明の出典も含めて教えてください。

答え:公孫龍における「虚と実」は、中国の戦術や兵法において非常に重要な概念です。この虚と実は、戦術的な詭道(奇策)と正道(正攻法)を意味します。「虚」は「空虚」や「偽装」を意味し、敵に見せかける動きや意図を指し、実際には攻撃や行動を取らない部分です一方、「実」は「現実」や「本質」であり、実際に行う攻撃や本当の狙いです。

公孫龍において、師である復生が教えたのは、相手に「虚」を撃たせる、つまり相手を見せかけの動きや誤った狙いに誘導することです。そして、その隙に自分は「実」で攻撃することで勝利を収める、という戦術の極意を教えています。これは、戦術における「陽動作戦」や「奇策」と「本命」の組み合わせを示しており、戦いで勝利するためには単純な力だけでなく、相手を欺く術を活用する必要があるという教訓です。

例えば、孫子の兵法でも「虚実篇」において、敵を欺くために「虚」を用い、こちらの「実」を隠し、最終的に敵が虚を攻撃してしまうように仕向けるという同様の戦術が述べられています。これが、実戦での勝利のために重要であり、形としては勝ったように見えても、適切な戦術を取らなければ自分が死ぬ危険があるという復生の教えにつながっています。

出典としては、中国の兵法書『孫子』や、その後の戦術書における「虚実」の概念が挙げられます。特に『孫子』の「虚実篇」では、虚と実を巧みに使い分けることで敵を混乱させ、最終的に勝利するという考えが詳しく説明されています。

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。