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[No.4390] 高円寺緑道公園の河童像の脇で、今年も紅梅と白梅が花をつけ始めました

高円寺緑道公園の河童像の脇で、今年も紅梅と白梅が花をつけ始めました。これは、冬から春への確かな移ろいを感じさせます。左の紅梅が先に花開き、右の白梅がようやく咲き始めるという並びは、梅の世界ではごく自然な光景です。こうした紅白の対比は、日本人の感性に長く親しまれてきましたが、その象徴として最もよく知られているのが、江戸時代を代表する絵師・緒方光琳による紅白梅図屏風でしょう。

紅梅と白梅が特別に尊ばれるようになった背景は、実はかなり古く、奈良・平安時代にまで遡ります。梅は中国から薬木・観賞木として伝来し、当初は桜よりも高貴な花として愛されていました。『万葉集』には梅を詠んだ歌が数多く収められており、当時の貴族文化において、梅は知性や清雅さを象徴する存在でした。やがて時代が下り、室町から江戸期になると、紅と白という色の対比が「めでたさ」や「調和」を象徴するものとして意識されるようになります。光琳の屏風は、こうした美意識が成熟した江戸中期の結晶とも言え、紅梅と白梅を左右に配し、流れる水を挟んだ大胆な構図で、自然の中の対照と均衡を見事に表現しています。

では、実際の自然界では紅梅と白梅のどちらが先に咲くことが多いのでしょうか。一般論としては、紅梅の方が白梅より数日から一週間ほど早く咲くことが多いとされています。理由の一つは、品種差と色素の違いです。紅梅はアントシアニン系色素を多く含み、これが低温下でも花芽の成熟を促しやすいと考えられています。ただし、これはあくまで傾向であり、日当たり、剪定状況、樹齢、都市部か郊外かといった環境要因によって前後します。高円寺緑道公園のように、同じ場所で紅梅が先行し、白梅が少し遅れて追いかけるように咲く姿は、むしろ典型的な「梅の時間差」をそのまま見せてくれていると言えるでしょう。

最後に、眼科医の立場から、目の健康にまつわる梅のトリビアを一つ添えたいと思います。梅の実に含まれるクエン酸やポリフェノールは、抗酸化作用を持つことで知られ、全身の疲労回復に役立つとされています。直接「視力が良くなる」わけではありませんが、抗酸化作用は加齢に伴う眼の老化、たとえば網膜や水晶体の酸化ストレスを減らすという観点では無関係ではありません。また、早春に梅の花を眺める行為そのものが、遠くをぼんやり見る時間を自然に作り、冬の間に近業が続いた目を休ませる良い機会にもなります。紅梅が先に咲き、白梅が静かに後を追う――そのわずかな時間差を味わいながら花を眺めることは、目にも心にもやさしい早春の習慣と言えるのではないでしょうか。

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