糖尿病網膜症診療ガイドラインのポイントという第125回日本眼科学会モーニングセミナー12の記録集が届けられました。
その中で信州大学の村田敏規教授は実臨床で役立てるポイントとして、CSME[Clinically-significant macular edema 視力を脅かす糖尿病黄斑浮腫]が重要であるとしており、OCT-MAPが有用な検査であると述べておられました。おそらくこれは次の様な画像を指しているとおもいます。
そこで、実際にどの様なものかを探してみたら、acta ophthalmologicaに、「糖尿病性黄斑浮腫の強化された光コヒーレンスパターンとそれらの病態生理学との相関」という2008年の論文がありました。
https://doi.org/10.1111/j.1600-0420.2007.00917.
2008年10月9日 https://doi.org/10.1111/j.1600-0420.2007.00917. で、引用が53回された歴史的な論文です。
Wael Soliman MD、MSc、Department of Ophthalmology、Glostrup Hospital、DK-2600 Glostrup、Denmark
概要。
目的:光コヒーレンストモグラフィー(OCT)Bスキャンのシーケンスのコンピューター化されたアラインメントと平均化を使用して糖尿病性黄斑浮腫(DMO)のさまざまなパターンを説明し、これらのパターンと状態の病態生理学との相関関係を示します。
方法:未治療のDMOを有する46人の被験者を含む前向きの制御されていない研究を実施しました。強化されたOCT画像が作成されました。DMOのさまざまなOCTパターンをETDRS視力および黄斑の中央1mmの厚さと相関させました。また、これらのパターンをDMOの病態生理学の理論と相関させました。
結果:強化されたOCT画像により、黄斑のさまざまな層がどのように影響を受けたかを調べることができました。外境界膜(ELM)は、進行した段階を含むすべての段階ではっきりと見られました。異なる黄斑層におけるDMOイベントのシーケンスは、5つのパターンに分けることができます。形態学的には、DMOは外顆粒層/ヘンレ層から始まります。浮腫が進行すると、中心窩に嚢胞が見られ、DMOは内顆粒層にさらに広がります。ELMはタンパク質のバリアとして機能しているようで、DMOの開発に重要な役割を果たしています。
結論:強化されたOCTは、DMO病態生理学の新しい詳細を明らかにしました。強化されたOCTで見られるDMOのさまざまな形態学的パターンは、疾患のさまざまなレベルの重症度を表している可能性があります。
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本文の中で、糖尿病性黄斑浮腫のさまざまな形態学的パターンの強化された光コヒーレンストモグラフィー画像が示されており、
パターン1:網膜層の形態または厚さの対応する変化を伴わないフルオレセイン血管造影の漏出。
パターン2:外顆粒層(ONL)および/またはヘンレ層のびまん性または局所的な肥厚。
パターン3:ステージ2 + ONLおよび/またはヘンレ層の嚢胞性変化。
パターン4:ステージ3+内顆粒層の嚢胞性変化。
パターン5:ステージ4+神経網膜の漿液性剥離。
と説明されています。
代表的な正常者の画像も示されています。
この図は小さいので、原著に戻って拡大してご覧ください。
黄斑部の浮腫がどのように撮影されて観察できるものか、さっそく今回導入したOCT機材で確認して見ることにしましょう。
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