日本の眼科2023年6月号が届きました。特報は、日本眼科医会倫理綱領・倫理規定の改定についてです。686-689頁。東京都眼科医会でも眼科医の倫理に関する問題点が指摘されていましたが、当時は倫理で何を問題としているのかが不明瞭でした(末尾記事参照)。今回の改定でそのポイントが少し明らかになったように見えます。ことに、患者の自己決定権の重視と個別の病気を治せない視覚障害者に対する支援の充実の必要性を指摘しています。応召義務は「患者に対する私法上のものではない」ことを明確にしています。医療広告もしっかり管理しないと野放図になる恐れがあります。遠隔診療も無制限に取り入れられることに日本眼科医会は反対しています。
ーーーーー要点を項目別に読んでみますーーーーー。
ーーーー要点ーーーー
医療現場における患者と医療従事者の関係性や人の生への価値観は普遍的なものではなく、種々の要素でその秩序に変化が起きている。急激な変化になかなか追いつけないが、この5,6年間での変化を取り入れて、改定を進めたと述べています
今回の改定のポイントは:
1)患者の自己決定権。社会的環境や死生観などからどのような治療法を選択するかは患者の権利であると考えている。
2)眼科医の責務:眼科の責務に視覚障害者への支援を追加した。種々の社会福祉制度を十分理解したうえで患者に説明することも追加された。
3)照応義務;照応義務とは国との合法的なものであり、医師の患者に対する私法上の義務ではないと明記された。
4)医療広告:印刷物、ウェブサイトも対象で、特にホームページの作成時には違法事項が含まれていないかを確認。
5)その他:個人情報の保護管理は義務だが、一方ビッグデータから新しい治療法開発も進む。オンライン診療が急速に進むが、現時点では医療の基本は対面診療であることを明記した。
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