◎ ブログを元に、最近の話題を取りまとめてこの「自由が丘清澤眼科最近の話題:長版)と、それから記事を厳選したメルマガの発信をしています。今回(11月3日)で91号。メルマガ読者数は眼瞼痙攣患者さんを中心に(11月3日で)890人になりました。(⇒視聴登録募集。ご登録はこちらから)、登録取り消しも簡単にできます。さて、一度読めていたのに、最近メルマガ配信が中断したという方は、あなたの携帯電話の迷惑メールボックスに入っている可能性がありますので来院時に当院職員にご相談ください。
① ご近所の話題など
◎ 食堂 ムラッチョ ― 自由が丘の小さな隠れ家的定食屋
昼は日替わり定食や定番の「生姜焼き」「唐揚げ」「ハンバーグ」などを提供し、価格はおおむね1,000円前後、夜のワイン付きのディナーでも3000円と手頃。素材の味を大切にしながら、どの皿にも野菜や副菜が添えられており、栄養バランスに気を配った構成です。「家庭の味だけどプロの仕事が感じられる」との評判通りでした。(御訪問時には眼科院長ブログでみたと囁いてみてください。)
市内には古い土蔵造りの商家が軒を連ね、黒塗りの重厚な壁と白い漆喰の対比がどこか懐かしさを誘います。建物の保存が丁寧に行われているだけでなく、歩道の石畳も美しく整えられており、ゆっくり歩くだけで心が落ち着いていきます。
◎ アスクルにサイバー攻撃──文房具も届かない!? 身近に迫るサイバーリスクと私たちの備え
当院でも、細隙灯写真用のフィルムやボールペンの替え芯といった消耗品の発注ができず、代替の購入方法を探す日々が続いています。原因は、オフィス用品の大手通販サイト「アスクル」と、その個人向けサービス「LOHACO(ロハコ)」を襲った大規模なサイバー攻撃です。
◎ 金木犀:
秋の深まりを感じるこの時期、自宅近くのひときわ大きな キンモクセイ(=金木犀)の木に、なんと多数の“金木犀マーク”の缶飲料が飾られているのを見かけました。今回はその金木犀をテーマに、一般解説とトリビア、さらに眼科医らしいちょっとした話題、そしてその缶飲料についても触れてみたいと思います。
◎ 生活保護費引き下げは「不合理」――最高裁が示した判断とこれからの課題
2025年6月、最高裁判所は「2013年以降に行われた生活保護費の引き下げは合理性を欠く」との判断を示しました。この判決は、単なる数字の問題ではなく、「人が人らしく暮らすための最低限の基準」をどう守るかという社会全体のテーマを問い直すものです。今回はこの裁判の背景と、私たちの生活への意味をわかりやすく整理します。
② 一般患者さん向けの眼科の話題
糸状角膜炎とは角膜(黒目の表面)を覆う涙のバランスが崩れ、上皮の一部が乾燥や摩擦で傷つくと、傷ついた上皮とムチンという粘性成分が絡み合って、細い糸のような付着物「フィラメント(filament)」ができます。これがまばたきのたびに角膜表面を引っ張るため、強い異物感や痛みを生じるのです。眼瞼痙攣でも見られることがあります。
◎ 2024–2025年シーズンは近年で最も重いインフルエンザ流行にでした
昨季のインフルエンザは推定4,300万人が発症し、1,900万人が医療機関を受診、56万人が入院、3万8,000人が死亡したと報告されています。この数字は過去7年間で最悪レベルであり、再びインフルエンザが重大な公衆衛生課題であることを示しました。インフルエンザワクチンの副作用は少ないです。接種をご検討ください。
◎ 相原一先生の「緑内障マネージメントのコツ」(『 日本の眼科』10月号掲載)記事紹介
緑内障は、早く診断して治療を始めるだけでなく、「患者さん自身の自己管理支援」「病型・環境・生活習慣を踏まえた治療選択」「長期管理体制」の3つを包括的に組み合わせていくことが、生涯にわたって視機能・QOLを守るために極めて重要と相原 一先生は述べています。
◎ 「近視性黄斑変性症(Myopic Maculopathy, 病的近視の黄斑部変化)」の国際的グレーディング分類表
当医院でも強度近視の患者さんは多いです。「近視性網膜変性症(Myopic Maculopathy, 病的近視の黄斑部変化)」の国際的グレーディング分類表(META-PM分類:Meta-Analysis of Pathologic Myopia) を基にした一覧表を示します。これは東京科学大学(旧;東京医科歯科大学)など日本の大学病院の臨床でも標準的に用いられている分類です。
③ 此処からは論文紹介など眼科のやや専門的、学術的な話題です
◎ 「レジデントはこれを読め」日本の眼科、宇野真先生の寄稿を読みました
宇野真先生は、研修医向けに神経眼科学の教科書を紹介されました。この中で私も3人の著者の一人である「神経眼科臨床のために第4版」も2冊目の推薦書として言及してくださいました。文字中心で写真にはあまり頼らず、初版の単一著者であった藤野貞先生の思想性の高い教科書と自負しています。;紹介くださった宇野先生に感謝いたします。
複数の焦点を持つ近視管理用眼鏡が①1日2時間以上の戸外活動、⓶低濃度アトロピン点眼、③オルソケラトロジー、に続いて今回の近視進行予防治療のラインアップに加わってきました。今回はそのガイドラインを紹介します。最初に超短縮版、続けてやや詳しい短縮版をまとめて見ました。)
◎ 乳児虐待に関する法律家主催のシンポジウムを聞いてきました。
乳児虐待に関する法律家主催のシンポジウムを聞いてきました。そこでこの問題を扱った書籍も入手してきました。その揺さぶられっこ症候群(SBS shaken baby syndrome)と虐待による頭部外傷(AHT abusive head trauma)を扱った「赤ちゃんの虐待えん罪」(秋田真志、古川原明子、笹倉香奈;編著)について、説明します。
◎ 「感覚は五つではなく十二ある」
私たちは日常、「見る・聞く・触れる・味わう・嗅ぐ」という五感を通して世界を感じています。けれどもシュタイナーは、人間にはさらに八つの感覚があり、合計十二、「外界を味わう感覚(嗅覚・味覚・視覚・温感覚)」、「他者や精神世界を感じる感覚(聴覚・言語感覚・思考感覚・自我感覚)」に分けられます。
◎ 米国の医療従事者に広がる“貧困・食料不安・住まいの不安定さ”
分析の結果、介護士のような直接ケアの支援職が最も厳しい状況にありました。貧困率:9.6%(医師は0.9%)。食料不安:24.5%(医師は4.3%)。住宅不安定:13.6%(医師は3.1%)。つまり、米国の医療支援職は4人に1人が十分な食事をとれず、7人に1人が家賃や公共料金を払えない状況です。
◎ 脳科学的アプローチからの人工網膜の革新に期待して:日本神経眼科学会 抄録から
大阪大学の森本壮先生は、脈絡膜上・経網膜刺激(STS)法という独自の方式で臨床応用を進め、世界的にも注目されています。今回、第63回日本神経眼科学会の会長として、森本先生が「脳科学的アプローチからの人工網膜の革新とその先にある未来」というテーマで講演をされます。
◎ 心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療 ― プライマリケアでの新たな比較試験結果
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、事故や災害、戦闘体験、暴力被害などの強いストレスを経験した後に生じる精神的後遺症です。悪夢やフラッシュバック、過覚醒、回避行動などを伴い、社会生活を大きく損なうことがあります。米国では退役軍人を中心に多くの患者がプライマリケア(一般診療)を受けていますが、PTSD治療は専門的なメンタルヘルス施設に限られることが多く、実際に専門的治療を受けている患者は全体の3分の1程度にすぎません。私も実際に米軍退役軍人の医療評価に参加していて、眼窩の認知行動療法も手掛けています。
◎ あらためてSBS/AHT仮説を問う ― 医学と司法のはざまで生まれつづけるえん罪 ―
SBS/AHT仮説(乳幼児揺さぶられ症候群/虐待頭部外傷仮説)を検証し、誤判やえん罪を正すために「SBS検証プロジェクト」が設立されてから8年が経過しました。この間、SBS/AHT仮説が争点となる事件では無罪判決が相次ぎ、仮説の見直しの必要性が広く認識されつつあります。しかしながら、SBS/AHT仮説に対する真摯な科学的検証はいまだ十分に行われていません。
④ 眼瞼痙攣、ビジュアルスノウなど神経眼科関連の話
◎ 新しいタイプのボトックス治療薬 ― インコボツリヌストキシンAの有効性と安全性が確認されました
今回、日本で新しく「インコボツリヌストキシンA」という精製度の高い薬剤の効果と安全性を調べる臨床試験(第Ⅲ相試験)が行われ、その結果が日本神経眼科雑誌の抄録集に報告されました。研究は、国際医療福祉大学熱海病院眼科を中心に、全国14の医療機関で行われました。私(清澤)も、眼瞼けいれん治療の専門家に交じって参加しました。市販の日程は未定です。
◎ ビジュアル・スノー症候群への理解を ― シエラ・ドム氏からの公開書簡
世界人口の約2〜3%が、視界全体に砂嵐のようなチラチラした光の粒が見える「ビジュアル・スノー症候群(Visual Snow Syndrome, VSS)」を経験しているといわれます。これは幻視ではなく、脳の感覚処理ネットワークに生じる変化によって起こる神経学的な疾患です。このほど、国際的な患者支援団体「ビジュアル・スノー・イニシアティブ(VSI)」の創設者であるシエラ・ドム(Sierra Domb)氏が、世界中の家族・教育者・医療者に向けた公開書簡を発表しました。彼女自身もVSSを患い、長年の孤立と誤解を乗り越えて活動を続けています。
◎ 眼瞼けいれんと光過敏 ― 若倉先生の新しい治療法「HDグラス」の効果が論文掲載に
若倉雅登先生らのHDグラスの羞明に対する効用に関する実用性を示す初めての本格的な論文が本日までにCureusという英文雑誌に正式に公表されました。光に対する感作を中断させるために、それ自体をかけては歩行もできないほどの非常に暗いサングラスを日中に何回かに分けて使用させ、徹底的に目を休めるるというアイデアを製品にしたものです。関連演題が今回11月末の神経眼科学会にも複数出ています。
◎ 「ビジュアルスノウ症候群(Visual Snow Syndrome:VSS)の異常なグルタミン酸作動性およびセロトニン作動性接続性
VSS患者において、どの神経伝達物質(グルタミン酸、セロトニンなど)が脳内の回路接続性(機能的連結性)に関わっているかを、健常者および片頭痛患者と比較して明らかにすることを目的とする論文です、
「ビジュアルスノウ症候群(Visual Snow Syndrome:VSS)および前兆を伴う片頭痛における異常なグルタミン酸作動性およびセロトニン作動性接続性」



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