全身病と眼

[No.2400] メタノール中毒による失明と死亡の原因、そして対策

メタノール中毒による失明と死亡の原因は?

清澤のコメント:メチルアルコールを飲ませて夫を殺害したのではないか?という事件が報道されています。その機序や対策を説明してみましょう。

   ーーーー報道ーーーー

 夫にメチルアルコールを飲ませて殺害しようとしたとして、滋賀県警は2月22日xx容疑者(33)を殺人未遂容疑で逮捕した。夫は命に別条はないが、視力が大幅に低下しており、県警は、森崎容疑者がメチルアルコールを混入させた飲み物を複数回飲ませた可能性があるとみている。

 発表では、xx容疑者は昨年9月頃、自宅で夫(35)にメチルアルコールを飲料水に混ぜて摂取させ、メチルアルコール中毒を発症させて殺害しようとした疑い。メチルアルコールは無色透明で、メタノールとも呼ばれる。原液は劇物に指定されており、車用の洗剤などに用いられ、大型量販店などで購入可能という。夫は同月下旬、めまいや吐き気などを訴えて地元の眼科医を受診。だが、症状が重く、別の病院で検査した結果、メチルアルコール中毒と診断され、病院が県警に通報していた。

   ーーーーーーー

メタノール(メチルアルコール)は、視神経や網膜などの目の組織に大きなダメージを与える危険な物質です。メタノールを飲んだり、皮膚に触れたり、吸い込んだりすると、中毒症状が起こります。中毒症状には、視力低下や失明、頭痛や吐き気、意識障害や死亡などがあります。メタノール中毒の原因や機序、治療法について説明します。

  • メタノール中毒の機序: メタノールは体内でホルム酸に変わりますホルム酸は細胞のエネルギー産生を妨げて、視神経や網膜などの目の組織を壊します。ホルム酸は他の臓器にも悪影響を及ぼします。
  • メタノール中毒の原因: メタノール中毒は、メタノールを含む物質を摂取した場合に発生します。戦後の時代には粗悪な密造酒と思いつつ仲間と飲んだメタノールを含んだ酒で失明したという症例を昭和末年になって拝見したことがありました。メタノールは、ウィンドシールド洗浄液や工業用アルコール、船のコンパス内の液体などにも含まれています。メタノールでは、事故や自殺未遂の場合や、汚染されたアルコール飲料を飲んだ場合に中毒になることが報告されています。
  • メタノール中毒の治療法: メタノール中毒は早期に治療しないと重篤な結果になります。治療法には、メタノールの代謝を阻害する薬剤(フォメピゾールやエタノール)や、ホルム酸を除去する血液透析などがあります。エタノール投与は、メタノールの酵素による分解を競合的に抑えてアルデヒドの産生を遅らせるという目的があります。

メタノール中毒は非常に危険な状態です。メタノールを含む物質には十分に注意してください。中毒の疑いがある場合は、すぐに医療機関に連絡してください。

リファレンス: ja.wikipedia.org

 

 

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。