眼瞼痙攣

[No.2399] 瞼の痙攣には脳腫瘍を伴うものも存在する:

瞼の痙攣には脳腫瘍を伴うものも存在する:

瞼がぴくぴくと動く疾患には眼瞼ミオキミア、片側顔面痙攣、そして眼瞼痙攣などがあります。

 眼瞼ミオキミアは、目の外下あたりを中心とした眼輪筋の短時間続く軽い収縮で、目の疲労やドライアイなどの軽度な原因で誘発される状態です。通常は治療と観察を続けると数か月以内に自然に解消されます。

 片側顔面痙攣(Hemifacial Spasm)は、顔の片側の筋肉の痙攣は血管(通常は動脈)によって顔面神経が圧迫されることで起こる状態で、不完全なウインク様の動きを示すものから、痙攣が口角まで広がるものもあります。この症状は、良性の腫瘍、特定の血管奇形、多発性硬化症、または癒着によって引き起こされることがあります。私も多数の小脳動脈(後下小脳動脈など)あるいは屈曲した椎骨動脈などが患側の顔面神経と接触することが原因で発生した例を見て、治療しています。また良性の嚢胞や聴神経腫瘍の関連した症例を見たこともあります。

一方、眼瞼痙攣は両側の目を開けていられないという開瞼維持困難の症状を訴えるもので、原発性のものと薬剤性のものに分けられます。良性本態性眼瞼痙攣(Benign Essential Blepharospasm, BEB)は、特に誘因なく発生し、両側の眼瞼(まぶた)の筋肉が不随意に収縮して痙攣する症状です。薬剤性眼瞼痙攣はベンゾジアゼピンなどの長期常用によって脳内の神経ネットワークに不調が起きて起きるものです。

片側顔面痙攣と眼瞼痙攣は、顔の運動障害として混同されることがありますが、治療開始時には正確な診断が重要です。片側顔面痙攣は、多くの場合に顔面神経への異常な血管圧迫によって引き起こされます。ボトックス治療を始める前に脳のMRIを調べておくとよいでしょう。高解像度の3D磁気共鳴画像(MRI)により、顔神経を圧迫する単一の血管が52%の症例で特定され、複数の血管圧迫が48%の症例で確認されています。

治療法として、片側顔面痙攣と眼瞼痙攣の両疾患に対してはボツリヌス毒素(Botulinum toxin, BTX)を痙攣している眼輪筋に注射するのが第一選択です。BTXの効果が十分でない場合、には手術も限定的に検討されますが、手術には相当のリスクが伴います。手術の成功率は、経験豊富な脳外科医と高度な画像技術を持つ三次医療機関で行われた場合に高まります。片側顔面痙攣の治療には微小血管減圧術(ジャネッタ手術)が有効です。眼瞼痙攣の場合は眼輪筋切除術が選択肢となります。これは目の周りの眼輪筋をその表面の皮膚とともに切除するもので、私は最終手段としてのみ、その処置に慣れた形成外科医に手術を依頼します。しかし、この手術では、明らかに術後の顔貌は術前のそれとは変わりますから、そのリスクは意味のある臨床的利益を上回る可能性があります。リボトリールやアーテンなどの脳内の神経伝達を調整する内服薬は一時的な症状緩和をもたらしますが、治癒効果はありません。眠気や依存性の副作用があり、ボトックス局所注射で効果が不十分な患者にその適用は限定されていると説明します。漢方薬の抑肝散加陳皮半夏は不安を抑えて痙攣を減弱し、また副作用も少ないので、鬱症の病名での処方がしやすいです。 さらに、経頭蓋磁気刺激または頭蓋内電極による電気刺激の治療法は原発性眼瞼痙攣の治療において一部の患者に選択肢として検討されています。将来的には新たな治療法となる可能性があります。 これらの疾患は個々の患者によって異なるため、専門医による適切な診断と治療を行うことが重要です。

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