眼瞼痙攣

[No.2621] 眼瞼けいれんの重症度の判定(臨床質問17)

眼瞼けいれんの重症度の判定(臨床質問17)

回答      

眼瞼けいれんの重症度の判定には重症度分類を用いる、眼瞼けいれんの重症度の判定分類には眼瞼ジストニア程度分類(表1や眼験けいれん重症度分類を用いるとよい。眼瞼ジストニアの程度分類は瞬目異常に着目し瞬目負荷テストの結果を加味した分類であり、診察室における所見から重症度を判定でき受け入れやすい、さらに眼瞼ジストニア分類を改訂した眼けいれん重症度分類(表2)もあり、眼験けいれんジストニア程度分類を瞬目テストごとに分頼したもので、評価しやすいそのほか Jankovile 評価スケール(表3)もある”

清澤のコメント:今回に限り、公式の解説が長いのでその前に清澤のコメントを記載します。

清澤のコメント:論文を書こうというならば、共通の評価基準であるJankvicの分類が良いだろう。様々な評価方法が用いられているが、私は若倉の速瞬、経瞬、強瞬の点数を0から3として、その総計点数を眺める方法を好んである。それであれば、トトトトと早く瞬きさせて速瞬を評価し、次にポンポンポンと瞬きをさせて軽い瞬きを評価し、最後にギューパ、ギュウパと強い瞬目をさせて評価をするだけなので、評価は比較的早く出来る。若倉のポンポコポンと唱えながら瞬目させる方法で軽瞬と速瞬の評価に変えることもできるだろう。これらの評価を私は助手を務める看護師に依頼しているが、比較的安定した評価ができていると自負している。

解説:          

眼験けいれんジストニア分類(表1)は診察室での瞬目から判定を行う程度分類であり、瞬目負荷テストの結果を加味した分類である。さらに眼験けいれんジストニア分類をわかりやすく瞬目テストの結果からgrade に分けたものが眼瞼けいれん重症度分類である(表2)・眼瞼けいれんの症例では集中すると眼験けいれんの頻度が低下するなど、症状に変動があるため軽症例では診察室での症状だけでは重症度が分かりにくいこともある。

Jankovic 評価スケール(表3)はボツリヌス治療の治験効果判定の時に用いられたが、眼瞼けいれんの頻度と重症度に分けてスコア化を行うため、両者の差が明確でなくわかりにくい。

しかし、現在の重症度分類はいずれも運動障害のみで判定されているため、感覚障害を加味した重症度分類の作成が望まれる.

1.診察室における眼瞼ジストニアの程度分類(若倉)

I)訴えに対応した他覚的所見が得られない

I)軽瞬、速瞬が不規則または強瞬しかできない註:Ⅰ、IIでは診察室で特有の症状を見せることはまれ

IIA)強瞬時、開瞼に著しい遅れや座撃(失行型)

IIB)瞬目させると中途で痙攣が生じたり閉瞼状態

註:Ⅲでは通常室内でもまぶしそうな表情や、しかめ面が確認できる

Ⅳ)診察室でも大半が閉瞼状態

V)全く開瞼できない

眼瞼けいれんの程度にかかわらず、眼瞼周囲以外に筋にジストニアが確認できる場合はⅣまたはV

に分類する

 

2.眼瞼けいれんの瞬目テストによる重症度分類

Gradel 他覚的所見が得られない、瞬目テストの軽瞬、速瞬が0-1点で強瞬が0点

Grade2 瞬目テストの軽瞬と速瞬2~3点で強瞬0点

Grade3 瞬目テストの軽瞬も速瞬も2点で強瞬が1点

Grade4 瞬目テストの軽瞬も速瞬も3点で強瞬が2~3点

Grade5 開瞼維持ができず 90%以上が閉瞼で Grade4を満たす

 

3Jankovic評価スケール3

重症度スコア

0:痙攣をまったく認めない(正常)

1:光,風、振動などの外部刺数によってのみ痙攣が誘発される

2:軽度な痙攣を認める

3:痙攣を認め、他の顔面筋との差異が分かる

4:他の顔面の痙撃を伴う著明な眼瞼けいれんをみとめる

頻度スコア

0痙攣を全く認めない(正常)

1:通常より瞬きが多い(20回/分以上の頻度)

2:瞬きが著明に増加し、1秒程度の持続する軽度の攣縮を認める

3:1秒以上の持続する攣縮が認められ、日常生活に支障をきたしているが、50%以上は開瞼している

4:攣縮によりほとんど閉瞼状態のため、機能的は失明状態あり読書やテレビをみることができない

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