眼科医療経済等

[No.2730] 全国医療情報プラットフォームの構築に向けた医療DXの推進 仲野豊 眼科と経営誌の記事から

全国医療情報プラットフォームの構築に向けた医療デジタルトランスフォーメーションの推進 仲野豊

清澤のコメント:これから眼科医療もDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応を強く迫られることが予想されます。今回、仲野豊氏が書いた論説が「眼科と経営174号」に掲載されています。その要旨を採録いたします。これは、先に報じられた、「国が後押しして安価な電子カルテを提供する」というニュースにつながるのでしょう。

   ―――記事の要点:―――

2024年度の診療報酬改定は、医療機関勤務者の賃上げ、医療・介護・障害福祉の連携強化、新興感染症等への対応、そして「医療デジタルトランスフォーメーションの推進」が主な柱として実施されました。特に注目すべきは、診療報酬の共通算定モジュールを通じて、モダンシステム化を目指した診療報酬改定デジタルトランスフォーメーションの推進です。従来はシステムベンダ各社が作成していたマスタや電子点数表を、厚生労働省が作成して提供することで、ベンダや医療機関の負担を軽減することを目指しています。この改定により、点数や省令、告示、通知が順次発出される従来の慌ただしいスケジュールは見直され、施行日が61日に後ろ倒しされることになりました。

 

医療情報の標準化と共有の目指す方向

医療情報の標準化と共有は、電子カルテ情報や電子処方箋の処方情報を活用することで、医療機関間や医療機関と薬局間の情報共有を促進し、医療の質的向上を図ることが目的です。この第一歩として、マイナンバーカード(以下、マイナカード)受診の普及と電子カルテや電子処方箋の普及が重要となります。2024年度改定では、以下のような新設・見直しが行われました。

 

医療情報取得加算

医療DX推進体制整備加算

在宅医療DX情報活用加算

これらの点数には以下の要件が共通で求められます:

 

  • レセプトのオンライン請求
  • 電子資格確認の体制
  • 診療情報の閲覧・活用体制
  • 電子処方箋の発行体制(2025331日までの経過措置)
  • 電子カルテ情報共有サービスの基本体制(2025930日までの経過措置)
  • マイナンバーカードの健康保険証利用の一定以上の使用実績(2024101日から適用)
  • 医療DX推進に関連する院内掲示
  • 上記要件のウェブサイト掲載(2025531日までの経過措置)

特に6のマイナンバーカードの健康保険証利用の一定以上の使用実績については、今夏頃に基準が示される予定であり、2024101日以降は基準を満たしていないと算定ができなくなります。

 

電子カルテの普及状況と今後の展望

電子カルテの普及は、一般病院が2008年の14.2%から2020年には57.2%、一般診療所が2008年の14.7%から2020年には49.9%と大きく進展しています。しかし、病院においては大規模施設ほど普及が進んでいるものの、200床未満の病院では48.8%に留まっています。

 

12月の保険証新規発行停止に向けた対策

マイナカード受診は、20244月時点で病院13.73%、医科診療所5.87%、歯科診療所10.91%、薬局5.87%にとどまっています。202412月以降に保険証の新規発行が停止されるため、窓口での混乱を避けるために、「マイナカードをお持ちでしたらお出しいただけませんか」「次回からマイナカードをご持参ください」といった呼びかけが必要です。

 

これらの改定や普及策を通じて、医療機関間の情報共有が進み、医療の質が向上することが期待されます。

廉価版電子カルテを国が開発するそうです。

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