清澤のコメント:前の記事のつづきです。リオラン筋をボトックスで弛緩させることが眼瞼の閉鎖を弱めるから直接に効くのではなくて、眼輪筋のプロプリオセプションを弱めることが眼瞼痙攣の治療でしばしば話題となる「知覚トリック」の機序を介して効いているという事を述べた日本人井上先生の論文です。John D Rogers先生の所属がありません。(リオラン筋が何かについては別に述べます)
2 リオラン筋へのボツリヌス毒素注射は、体性感覚の「トリック」である。Botulinum toxin injection into Riolan’s muscle: somatosensory ‘trick’ Eur Neurol (2007) 58 (3): 138–141. https://doi.org/10.1159/000104713 Ken Inoue, John D Rogers(所属は川崎医大)翻訳:リオランの筋へのボツリヌス毒素注射: 体性感覚の「トリック」 Ken Inoue 1、John D Rogers 要約:我々は、開瞼失行症 (ELA) 患者の睫毛部 (リオラン筋とも呼ばれる) にボツリヌス毒素 A (BTX-A) を注射する効果を研究しました。ELA 患者6名が、上眼瞼前眼輪筋と下眼瞼前眼輪筋の内側と外側にあるリオラン筋領域に BTX-A を注射して治療されました。6名全員に臨床効果が見られ、そのうち2名は以前に従来の BTX-A の眼瞼前注射で治療されていましたが、改善が見られませんでした。リオラン筋への BTX-A 注射は、ELA の治療に有効です。提案されているメカニズムは、筋肉の弛緩ではなく、ジストニア患者の「感覚トリック」に似た体性感覚皮質の調節です。
2,本態性眼瞼痙攣の治療:Riolan筋の無効化を追加した眼輪筋切除術の有効性の検討(J-GLOBAL)もありました:本態性眼瞼痙攣の治療:Riolan筋の無効化を追加した眼輪筋切除術の有効性の検討、柿崎裕彦ほか(愛知医大 病院 眼形成・眼窩・涙道外科、日本美容外科学会会報 (美容外科) 43 号: 144-145、2021年09月25日)。
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