結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)

[No.3159] ぶどう状球菌による結膜炎の概要

清澤のコメント:最近、結膜炎が有って細菌培養で陽性の結果が出る度に、検出された菌による結膜炎の特徴や対応を説明してきましたが、今回はぶどう状球菌による結膜炎を説明してみます。以下の説明にある様にぶどう状球菌は顔面皮膚の常在菌ですが、これを原因とする結膜炎が見られることがあります。

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ぶどう状球菌による結膜炎の概要

  1. 原因

ぶどう状球菌(Staphylococcus)は、グラム陽性の常在菌であり、皮膚や鼻腔などに存在します。これらの菌が眼表面に侵入し、免疫反応や感染症を引き起こすことで結膜炎を生じます。

  1. 症状
  • 急性結膜炎:
    • 眼の充血(主に結膜の血管が拡張)
    • 粘性または膿性の目やに(黄色や緑色の場合もあり)
    • 眼の異物感や軽い疼痛
    • 痒みは軽度であることが多い
    • 涙が増加する
  • 慢性結膜炎:
    • 軽い眼の刺激感や痒み
    • 粘性の目やにが少量持続的に生じる
    • 慢性的な充血
  1. 診断
  • 臨床所見: 上記の症状や、結膜の充血、目やにの性状を確認。
  • 細菌培養: 結膜から採取した目やにや分泌物を培養し、ぶどう状球菌の存在を確認。
  • 感受性試験: 菌種に対する抗菌薬の感受性を調べることで治療に役立つ。
  1. 治療
  • 局所抗菌薬:
    • 初期治療には、フルオロキノロン系やアミノグリコシド系、マクロライド系抗菌薬の点眼液が使用されます。例: レボフロキサシン点眼液、アジスロマイシン点眼液。
    • 感受性試験の結果に基づき、効果の高い薬剤に変更することもあります。
  • 眼瞼衛生:イボーム腺や眼瞼から菌が関与している場合、アイシャンプーなどで眼瞼の清潔を保つことが推奨されます。
  • 抗炎症薬: 炎症が強い場合、ステロイド点眼薬を併用することもありますが、細菌感染がコントロールされた後に使用されることが一般的です。
  1. 予後

適切な治療を行えば数日から1週間で症状は改善します。ただし、慢性的な感染がある場合は治療期間が延びることがあります。

  1. 予防
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