眼科医療経済等

[No.3221] 創薬における日本の現状と国際動向(土井 俊彦):記事紹介

最近の日本の製薬会社のパフォーマンスの低迷を私は感じておりましたが、その問題点を解説した記事の要点を紹介します。日本の眼科診療領域でも、利益は海外で開発された生物学的製剤に総取りされている印象です。創薬における日本の医薬品開発の現状と国際的な動向:(医学界新聞3569  創薬における日本の現状と国際動向(土井 俊彦) | 2025年 医学界新聞 )の要旨です。

医薬品開発の現状と課題

医薬品開発には、基礎研究から実用化に至るまでの幅広い研究開発能力と、社会制度や規制の構築が必要です。日本は、創薬競争の世界でエコシステムを構成する人材、関連産業、臨床基盤に加え、国の産業支援を最適化し、国際的な視点を踏まえた現実的な対策が求められています

日本の創薬力の低下

過去、日本は創薬先進国として画期的な医薬品を創出していましたが、現在はその地位が低下しています。従来の低分子モダリティを中心とした創薬にビジネス的な限界が訪れたためです。海外のメガファーマは組織再編や事業転換を行い、がんや難病・希少疾患薬の開発へと舵を切りました。日本の製薬企業は自らの創薬力を低下させ、海外からのライセンシングに依存する事態を招いています

ドラッグ・ラグ/ロス問題

日本では、海外で開発された新薬の承認が遅れる「ドラッグ・ラグ」や、新薬が国内に入ってこない「ドラッグ・ロス」が深刻化しています。これらの問題の原因として、治験・承認プロセスの在り方が挙げられます。具体的には、審査期間が長い、国際共同治験に日本を組み入れにくい、薬事・薬価制度の透明性・予見性が低いなどが原因です。

対策と提言

日本の創薬力向上のためには、以下の対策が必要です。

  1. 情報共有の強化: 開発初期段階における情報共有を強化し、海外と日本の製薬業界間、規制当局間、産業界規制当局間の相互協力を促進する。
  2. 承認プロセスの改善: 希少疾患治療薬に対する承認プロセスの体制整備を行い、海外データのみでの承認申請や仮承認制度の導入を検討する。
  3. 支援体制の強化: 希少疾患治療薬の開発に対する支援を強化し、スタートアップ・ベンチャー企業への開発計画支援や助成金交付を行う。
  4. 未承認薬の人道的使用: 他国で承認されているが自国では承認されていない薬剤を一定のルールの下に使用する制度を整備する。

このように、日本の医薬品開発には多くの課題があり、それらを解決するための具体的な対策が求められています。

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