新学期を迎えるにあたって
新学期が近づいてきました。近年、小学生の近視が増加しており、これは学校保健上の重大な問題となっています。今回は、両親やお祖父さんお祖母さんにも心配なこの子供の近視進行の問題について詳しくお話ししたいと思います。私は保険外診療のアトロピンとオルソケーにも対応できる用意をしています。
小児の近視進行速度
小児の近視進行速度は年齢や生活環境によって異なりますが、一般的に以下のような傾向があります。
- 6〜9歳(小学校低学年):−0.50D 〜 −1.00D / 年
- この時期は最も近視の進行が早く、特に屋外活動が少ない子どもはリスクが高まります。
- 10〜12歳(小学校高学年):−0.50D 〜 −0.75D / 年
- 徐々に進行速度が緩やかになりますが、学業負担の増加によって近視が加速する場合があります。
- 13歳以降(中学生〜高校生):−0.25D 〜 −0.50D / 年
- 思春期を過ぎると、近視の進行はさらに緩やかになります。
これらのデータからもわかるように、小学生のうちに近視が進行しやすく、特に若年者の近視管理が重要となります。
近視進行を抑えるための対策
近視の進行を抑えるためには、以下の対策が有効とされています。
- 戸外活動を1日2時間以上
- 自然光のもとで過ごす時間を増やすことで、近視の進行リスクを軽減できるとされています。しかし、現在の学習環境では十分な屋外活動時間を確保するのが難しい場合もあります。
- デジタル機器の使用時間を制限
- スマートフォンやタブレット、パソコンの画面を長時間見続けると、眼精疲労が起こり、近視が進行しやすくなります。適度な休憩と使用時間制限が重要です。
- 読書や勉強時の環境を最適化
- 適切な照明のもとで学習し、目と本や画面の距離を30〜40cm以上確保することが大切です。
- 医学的な対応
- 近視の進行を抑えるための医療的な手段として、以下の方法が考えられます。
(1) オルソケラトロジー(ナイトレンズ)
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- 就寝時に特殊なハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を一時的に変化させることで、日中の視力を改善する方法です。
- 近視進行の抑制効果も期待されています。保険適用外の自由診療となるため、個別のご相談が必要です。
(2) 低濃度アトロピン点眼(0.01%〜0.05%)
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- 1日1回、低濃度アトロピン点眼薬を使用することで、永続的な近視進行を抑制する効果が期待できます。
- この治療法は海外(シンガポールなど)からの医師による輸入により入手可能で、日本の大手製薬会社も開発を進めています。
- ただし、現時点では日本の健康保険の適用外となっており、医師と相談しながら個別に判断する必要があります。
まとめ
特に小学校低学年のうちに適切な近視管理を行うことで、強度近視になるリスクを軽減できます。
お子さまの近視進行が気になる方は、早めに眼科を受診し、最適な対策を検討することをおすすめします。
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