花粉シーズンで注目…世界初のまぶたに塗るアレルギー性結膜炎治療薬
日刊ゲンダイDIGITAL 健康 治療ニュース 記事
公開日:2025/03/01 06:00
すでに目のかゆみを感じる人も
本格的な花粉シーズンがやってきた。すでに目のかゆみを感じる人は少なくない。それを抑える薬といえば抗アレルギー点眼薬が定番だが、今年は様変わりしそうだ。昨年5月に世界初のまぶたに塗るアレルギー性結膜炎治療薬が発売され、人気になっている。どんな薬なのか? 「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。
「エピナスチン塩酸塩眼瞼クリーム(=一般名/商品名:アレジオン眼瞼クリーム0.5%)は世界初の塗布型抗アレルギー剤です。1日1回、上下のまぶたに塗るだけで24時間効果が持続します。点眼薬が苦手な人(とくに子供や老人)、かゆいときしか点眼薬を使わず効果が持続しない人、コンタクトレンズを使っている人、メーク崩れを気にする女性、朝の忙しい時間帯や日中の仕事や授業などで点眼する時間のない人などにとって、メリットの大きい薬です」
素人からすると、まぶたに塗るだけで目の中の結膜(まぶたの裏側から眼球の黒目部分の境までの白目部分を覆う膜で外界の刺激から眼球を守る役割を持つ)に持続的に抗アレルギー作用を及ぼすとは考えにくいが、事実だという。
アレルギー性結膜炎患者に対して行われた国内第Ⅲ相長期試験では1日1回8週間両まぶたに塗布した124例において有効性は維持され、その効果が低下することはなかった。患者自身が自覚できた具体的な効果としては、目のかゆみ、目やに、なみだ目、異物感などの減少。病院などの検査等で明らかになったものとしては眼瞼結膜充血、眼瞼結膜腫脹の減少があったという。
■有効成分は従来目薬の10倍
副作用は124例中2例に眼瞼掻痒症、眼瞼紅斑が見られた。
「アレジオン点眼液0.05%は、世界50カ国以上で承認され、日本でも2013年に発売されています。その後、濃度を2倍にしたアレジオンLX点眼液0.1%が開発され、19年に発売されました。点眼回数はこの間、1日4回から1日2回へと減少し、忙しい人などにとって大きなメリットとなりましたが、依然として課題は残っていました。アレルギー性結膜炎では、かゆみを感じた際の目をこする物理的刺激はかゆみを増す原因となります。つまり、花粉症の発症期間中はかゆみの有無にかかわらず、結膜の中のエピナスチン塩酸塩濃度を維持することが大切です。そこで開発されたのが、有効成分が最初の点眼薬の10倍含まれるこの塗布型抗アレルギー剤なのです」
塗布は1日1回なので、入浴後の就寝前、朝外出する前などがいい、と清澤院長は言う。
眼瞼クリームの適応年齢は12歳以上が推奨されている。
アレジオン眼瞼クリーム0.5%の薬価は、1グラムあたり1686.7円。1本2グラムの価格は3373.4円。3割負担の人は1012.02円となる計算だ。1回の塗布量は両目60ミリグラムであるため2グラム1本は約33回分となる。
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