神経眼科

[No.3460] 片目失明者友の会のご紹介 〜片眼視の不安を一人で抱えないために〜

【患者さん・ご家族へ】NPO法人 片目失明者友の会のご紹介 〜片眼視の不安を一人で抱えないために〜

当院でも、病気やけがの結果として片目の視力を大きく失ってしまった方に出会うことがあります。もう一方の目が見えていても、深い不安や生活の不便さを感じておられる方は少なくありません。

本日は、そうした方々を支える団体として活動している

「NPO法人 片目失明者友の会」をご紹介します。


■ 片目失明者とは?

この会では、「片目失明者」を次のように定義しています:

両目のうち一方が失明しており、もう一方は見えている人。

「失明」とは、視力が0.1以下、または視野が著しく狭い状態(視野10度以下など)を含みます。

完全に「見えない」だけでなく、日常生活でその目が役立たないと感じる状態も含まれています。生まれつきの片眼視の方も対象です。


■ この会の目的と活動内容

代表の**久山公明(くやま・きみあき)**さんを中心に、全国の会員と共に、次のような活動を展開しています。

  • 体験を共有する交流会やお話し会

  • 医療や福祉、生活上の工夫などの情報提供

  • 講演会・勉強会の開催

  • 社会への理解を広げる啓発活動

同じ悩みを持つ方同士がつながることで、孤独や不安が和らぎ、前向きに生活していく力を得られることを目指しています。


■ 参加や相談を希望される方へ

年会費3,000円で参加でき、ご家族や医療関係者も賛助会員として支援が可能です。


■ 最後に

片眼視の生活は、見た目には分かりにくいために周囲からの理解が得にくく、当事者が孤立してしまうこともあります。

「片目失明者友の会」は、そうした方々が安心して気持ちを分かち合える場所です。必要とされている方に、ぜひご紹介ください。

参考新聞記事の紹介:

2025年3月3日付の北海道新聞に掲載された記事「健常者と障害者の狭間で苦悩 公的支援なき片目失明者『障害認定基準見直しを』」の概要は以下の通り。


記事の概要

片目を失明した人々が、現行の障害者認定基準では障害者として認定されず、公的支援を受けられない現状に苦しんでいます。身体障害者福祉法の基準では、片目を失明していても、もう一方の視力が0.6を超えていれば障害者として認定されません。これにより、日常生活での困難や経済的負担を抱える当事者たちが、障害認定基準の見直しを求めています。

札幌市西区のモデル・吉野奈美佳さん(28)は、先天的な疾患により小学2年生で左目を失明しました。視野が狭まり、遠近感がつかみにくくなったことで、日常生活に支障をきたしています。しかし、右目の矯正視力が0.6以上あるため、障害者手帳の交付対象外となり、公的支援を受けられません。

また、義眼の費用も大きな負担となっています。義眼は10万円以上し、成長や経年劣化に伴い定期的に作り替えが必要ですが、健康保険の適用は眼球を完全に摘出した場合に限られます。眼球を残し、かぶせるタイプの義眼は「美容目的」とされ、全額自己負担となります。

「NPO片目失明者友の会」は、障害者認定を目指すための活動資金をクラウドファンディングで募り、厚生労働省や国会議員への要望活動を行っています。同会が当事者208人に行ったアンケートによると、約50%の人が片目が見えないことで疲れやすいにもかかわらず、健常者と同じ扱いを受けて不便を感じていると回答しています。

医師からは、片目失明者は見えている方の目に過度な負担がかかり、眼精疲労や頭痛、吐き気などを引き起こすと指摘されています。また、立体視ができず、遠近感もつかめないため、日常生活で支障をきたす場面が多いとされています。


このように、片目失明者が直面する課題は多岐にわたり、障害認定基準の見直しや公的支援の拡充が求められています。詳細な記事は北海道新聞デジタル版でご覧いただけます。

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