神経眼科

[No.896] プリオン病(3)致死性家族性不眠症(FFI)とは

プリオン病(3)致死性家族性不眠症(FFI)とは:https://www.nanbyou.or.jp/entry/213 から抄出。後半に別の説明を引用しておきます

 清澤のコメント:時計工芸新聞の記事に致死性家族性不眠症が説明されていたので、眼症状にはどんなものがあるのかという意味で、難病情報センターのページを調べてみました。この疾患は単なる重症の不眠というたぐいのものではなく、脳に異常なプリオン蛋白が蓄積して脳神経細胞の機能が障害され、脳に海綿状の変化が出現するプリオン病と呼ばれる疾患群に属する疾患です視床が主に侵され、眠れない、夜に興奮状態となる、 幻覚 、記憶力が低下したり、自律神経症状として体温が上がったり、多汗、頻脈が起きる。認知症や、ミオクローヌスを呈し、1年前後で意識がなく寝たきりの状態となるという事です。

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◎ 一般向けの病気解説 

致死性 家族性 不眠症(fatal familial insomnia: FFI)は、クロイツフェルト・ヤコブ病やゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病と 同様に、脳に異常な蛋白質(プリオン蛋白)が蓄積し脳神経細胞の機能が障害され脳に海綿状の変化が出現するプリオン病と呼ばれる疾患群に属する疾患です。病気の主症状や主な病変部位がクロイツフェルト・ヤコブ 病やゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群とは異なっています。

  1. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか:この病気は、日本では数家系で報告。
  2. この病気はどのような人に多いか:4050歳代で発症することが多いです。
  3. この病気の原因は:この病気の原因はプリオン蛋白遺伝子に変異があることで、患者の脳には異常なプリオン蛋白が多い。しかし、何故異常なプリオン蛋白が脳を障害するのか、詳細は解っていない。
  4. この病気は遺伝するか:これまでに、発病した患者さんの家族の中に同じ病気を発病した方もおられますが、発病しない方も大勢いる。どれくらいの頻度で発病するのか、まだ解っていない。遺伝子に異常がある全員が発病するわけではないらしい。遺伝性に関して正確なことは解っていない。
  5. どのような症状がおきるか:この病気は、視床と呼ばれる脳の部位が主に侵されます。眠れない、夜に興奮状態となる、 幻覚 、記憶力が低下したり、自律神経症状としては、体温が上がったり、汗をたくさんかいたり、脈が速くなったりする。やがて認知症や、ミオクローヌスと呼ばれるけいれんを呈するようになり、1年前後で意識がなく寝たきりの状態となる。
  6. どのような治療法があるか。この病気の治療法はまだない。
  7. この病気はどういう経過をたどるか:発病後2年以内に全身衰弱、肺炎などで死亡することが多い。
  8. 日常生活でどのような注意が必要か:日常生活に特別な注意は必要ない。しかし、他の人へのCJDの感染のリスクを回避するため、献血はできない。また、医療機関を受診するときには、必ずこの病気と診断されていることを医療機関に伝えるようにして下さい。
  9. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。

孤発性プリオン病、特発性(孤発性)クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症ほか

  1. この病気に関する資料・関連リンク 略

◎ 専門家向け解説から抄出

○ 概要 
1.概要
プリオン病は、正常プリオン蛋白が何らかの理由で伝播性を有する異常プリオン蛋白に変化し、主に中枢神経内に蓄積することにより急速に神経細胞変性を起こすまれな致死性疾患である。プリオン病の代表的なタイプである孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob diseaseCJD)は、1年間に100万人に1人程度の割合で発症することが知られている。ヒトのプリオン病は病因により、原因不明の特発性(孤発性CJDsporadic CJDsCJD))、プリオン蛋白遺伝子変異による遺伝性(家族性CJD)、致死性家族性不眠症fatal familial insomniaFFI))、他からのプリオン感染による獲得性environmentally acquired)の3種類に分類される。プリオン病は、人獣共通感染症であり、ヒト以外では、牛の牛海綿状脳症(BSE)などが知られている。
 
2.原因
プリオン蛋白(PrP)は正常の人でも脳に発現しているが、その機能に関しては諸説があり、まだ分かっていない。正常PrPPrPCと称されており蛋白分解酵素で消化される。一方、プリオン病の脳内に見られる異常なPrPPrPScと呼ばれ、蛋白分解酵素で消化されにくい。PrPScは、不溶性となり、凝集しやすいというアミロイドの性質を有している。 
3.症状
CJDの臨床病期は一般に3期に分けられる。

(1) 第1期:倦怠感、ふらつき、めまい、日常生活の活動性の低下、視覚異常、抑鬱傾向、もの忘れ、失調症状等の非特異的症状。

(2) 第2期認知症が急速に顕著となり、言葉が出にくくなり、意思の疎通ができなくなって、ミオクローヌスが出現する。歩行は徐々に困難となり、やがて寝たきりとなる。神経学的所見では腱反射の亢進、病的反射の出現、小脳失調、ふらつき歩行、筋固縮、ジストニア、抵抗症、驚愕反応等が認められる。

(3) 第3期無動無言状態から更に除皮質硬直や屈曲拘縮に進展する。ミオクローヌスは消失。感染症で1~2年程度で死亡。
 
4.治療法:治療法は未確立である。 
5.予後:孤発性症例では進行が速く1~2年で死亡する。遺伝性CJDや一部の孤発性CJDは進行が遅く数年に及ぶものもある。 
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数(平成26年度医療受給者証保持者数)584
2.発病の機構:不明(異常なプリオン蛋白が原因と考えられる。)
3.効果的な治療方法:未確立
4.長期の療養:必要(進行性で1~2年から数年で死亡)
5.診断基準:あり

◎   ーーーー別の説明:NORAD英文のページからーーー

致命的な家族性不眠症

NORD は、James A. Mastrianni、MD、PhD、教授、神経学科に感謝します。シカゴ大学神経生物学委員会、記憶障害に関する総合的ケアおよび研究センター所長。このレポートの作成を支援してくださった、脳研究財団の Helen McLoraine Neuroscience Investigator。

致命的な家族性不眠症の類義語

概要

致命的な家族性不眠症 (FFI) は、まれな遺伝的変性脳障害です。睡眠障害(不眠症)が特徴で、最初は軽度かもしれませんが、次第に悪化し、身体的および精神的な重大な悪化につながります. 影響を受けた個人は、自律神経系の機能障害を発症することもあります。自律神経系は、体温調節、発汗、呼吸、体温の調節など、人間が考えなくても起こる不随意または自動の身体プロセスを制御する神経系の一部です。心拍数。観察される具体的な症状は、病気の影響を受ける自律神経系の部分によって異なります。すべての場合において、FFI はプリオン関連タンパク質 ( PRNP) 遺伝子ですが、時々、バリアントPRNP遺伝子 (散発性致死性不眠症、または SFI) なしで、障害がランダムに発生します。PRNP遺伝子は、ヒトプリオンタンパク質の産生を調節します。この遺伝子の変化は、単に「プリオン」としても知られる異常な形状の (誤って折り畳まれた) プリオンタンパク質の生成につながり、これは体に有毒です。FFI では、異常なプリオンが主に脳の視床内に蓄積します。これにより、神経細胞 (ニューロン) が徐々に失われ、この障害に関連するさまざまな症状が引き起こされます。治療法はありませんが、研究者は FFI を最適に治療および管理する方法を研究しています。

序章

FFI は、伝染性海綿状脳症 (TSE) またはプリオン病に分類されます。プリオン病は、誤って折り畳まれたプリオンタンパク質が脳に蓄積することによって引き起こされます。他の 2 つのプリオン病、クロイツフェルト-ヤコブ病とゲルストマン-シュトラウスラー-シャインカー症候群も、PRNP遺伝子の変異の結果として発生する可能性がありますが、一部のプリオン病は遺伝的変異がなくても発生します。一般に、プリオン病は潜伏期間が長く、臨床期間が短いという特徴があります。つまり、異常なプリオンは何年もの間無症状で蓄積することがありますが(潜伏期間が長い)、症状が始まると急速に悪化します。

兆候と症状

FFIの特徴的な症状は、進行性の不眠症です。不眠症は中年期に始まることが多いですが、人生の早い段階または遅い段階で発生する可能性があります。不眠症は最初は軽度かもしれませんが、患者がほとんど眠れなくなるまで次第に悪化します。通常、不眠症は突然始まり、その後数か月で急速に悪化する可能性があります。睡眠が得られると、鮮やかな夢が見られることがあります。睡眠不足は身体的および精神的な悪化につながり、病気は最終的に昏睡状態や死に至る.

通常、不眠症が最初の症状ですが、一部の人は、思考、認知、記憶、言語、および行動の問題が悪化する進行性認知症を呈する場合があります。初期の兆候は微妙で、意図しない体重減少、物忘れ、不注意、集中力の問題、発語の問題などがあります。混乱や幻覚のエピソードが最終的に発生する可能性があります。

一部の影響を受けた個人は、複視 (複視) または異常でぎくしゃくした眼球運動 (眼振) を経験することがあります。嚥下障害 (嚥下障害) またはろれつが回らない発話 (構音障害) に問題がある可能性があります。一部の人は、最終的に随意運動の調整に問題が生じます(運動失調)。震えやけいれんなどの異常な動き、けいれん性の筋肉のけいれん(ミオクローヌス)、またはパーキンソン病のような症状が発生することもあります.

自律神経系の機能不全を伴う追加の症状がしばしば発生します。特定の症状は、影響を受ける自律神経系の特定の部分に基づいて、人によって異なります。一般的な症状には、発熱、急速な心拍数 (頻脈)、高血圧 (高血圧)、発汗の増加 (多汗症)、涙の産生の増加、便秘、体温の変動、および勃起不全を含む性機能障害が含まれます。不安や抑うつも一般的な所見です。

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