神経眼科

[No.3461] 神経眼科部門のポスターセッション抄録内容まとめ

清澤のコメント:2025年日本神経眼科学会ポスターセッション(神経眼科部門)の抄録内容を整理し、日本語でまとめました。最初の3題が英語で海外からの投稿です。学位論文に使われそうな基礎医学的な演題よりも症例報告的で、臨床眼科学会的な演題が多い印象です。

P2-013

演題Visual Deterioration in Carotid Cavernous Fistula 頸動脈海綿静脈洞瘻の視力低下
演者Wino Vrieda VierliaSeskoati Prayitnaningsih
筆頭所属Univ Brawijaya / Saiful Anwar General Hosp
要旨:頭部外傷後に発症した内頸動脈海綿静脈瘻(CCF)の一例。左眼の疼痛と眼球突出を訴え、眼底に中心網膜静脈閉塞様所見と海綿静脈洞の拡大が認められた。DSAで早期動静脈シャントを確認。視機能低下は高静脈圧によるうっ血が関与しており、早期治療が視機能温存に重要とされた。

P2-014

演題Ocular Myasthenia Gravis Mimicking Orofacial Dystrophy口顔面ジストロフィーに似た眼筋無力症
演者Santi Febrianti ほ、Univ Brawijaya / Saiful Anwar General Hosp
要旨2年間進行した眼瞼下垂と顔面筋力低下を呈する40歳女性例。OMGの典型症状である変動性が乏しく、MRIで前頭葉に梗塞があり診断が難航したが、ピリドスチグミン投与で著明に改善。非典型的OMGとして、検査が陰性でも疑いを持ち続ける重要性が強調された。

P2-015

演題Ocular Nerve Palsy and Future Strokes – Systematic Review and Meta-Analysis 眼球運動神経麻痺とその後の脳梗塞のシステマチックレビュー
演者Reuben Foo ほか:Singapore National Eye Centre
要旨:眼球運動神経麻痺(OCNP)と脳卒中の関連を調査したシステマティックレビュー。6研究16.8万人のデータから、OCNPは脳卒中リスクを約1.89倍高めると判明。第3神経麻痺が最もリスクが高く、視神経麻痺が脳卒中発症の前兆となる可能性を示唆している。

P2-016

演題:非機能性下垂体腺腫における視機能評価と関連性の検討
演者:徳毛花菜 ほか広島大学
要旨:下垂体腺腫が視神経に与える影響を、視力、中心フリッカー値(CFF)、中心感度と腫瘍の圧迫との相関で解析。特にCFFは視神経圧迫との強い相関があり、視機能低下の早期指標となりうる。診断や経過観察におけるCFFの有用性が示された。

P2-017

演題:白内障術後の視力低下を機に診断に至った高齢発症のレーベル遺伝性視神経症の一例
演者:川野浩輝 ほか川野眼科
要旨65歳男性が白内障術後に視力低下を呈し、両眼の中心暗点とRGC層の菲薄化からLHONが疑われ、遺伝子検査で確定診断。高齢発症かつ手術後の進行例であり、非典型的な視力低下時には高齢者でもLHONの可能性を考慮すべきことを示唆した。

P2-018

演題:高齢発症のLeber 遺伝性視神経症の1
演者:茂木俊太郎:防衛医科大学校 ほか
要旨73歳男性が両眼の亜急性視力低下と中心暗点で紹介され、視神経炎を疑われるもMRIや抗体検査で否定的。ステロイド治療も無効で、最終的にミトコンドリアDNA変異(11778)によりLHONと診断された。高齢者でも鑑別にLHONを含める重要性を示した。

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