霰粒腫(さんりゅうしゅ)について:症状から治療まで
まぶたに「しこり」ができて気になることはありませんか?その代表的な原因のひとつが霰粒腫(さんりゅうしゅ、カラジオン)です。多くは良性で、命に関わる病気ではありませんが、見た目や違和感のために不安になって受診される方が少なくありません。ここでは霰粒腫の症状や原因、診断方法、治療について、わかりやすくご説明します。
① 症状
霰粒腫はまぶたの中に生じる「しこり」です。
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初期は「まぶたに小豆くらいの硬い塊がある」と気づくことが多いです。
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通常は強い痛みや赤みはありません。
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大きくなるとまぶたが腫れて見た目に影響したり、角膜を押して視力がぼやけることがあります。
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まぶたを触るとコロッとした感触があるのが特徴です。
② 原因
まぶたには「マイボーム腺」という小さな腺があり、目の表面を守る油を分泌しています。この出口が詰まると脂が腺内にたまり、炎症を起こしてしこりになります。
霰粒腫は細菌感染によって生じる「ものもらい(麦粒腫)」とは異なり、感染ではなく分泌物の詰まりが主体です。そのため、強い痛みや膿は伴わないことが多いのです。
③ 診断
眼科では、まぶたを観察するだけでほとんどの場合診断が可能です。しこりの場所、硬さ、周囲の赤みなどを確認します。
長期間治らない場合や再発を繰り返す場合には、まれに腫瘍(悪性腫瘍を含む)と区別が必要になることもあります。必要に応じて切除した組織を検査することもあります。
④ 検査
霰粒腫では特別な検査が不要なことも多いですが、必要に応じて以下を行います。
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視力検査:大きなしこりで角膜が圧迫されていないか確認。
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眼科用顕微鏡検査:まぶたの裏側の状態を詳しく観察。
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病理検査:まれに腫瘍の可能性が疑われるときに行います。
⑤ 治療
霰粒腫は自然に小さくなることもありますが、長引く場合は治療が必要です。
保存的治療
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温罨法(おんあんぽう):蒸しタオルや温かいアイマスクでまぶたを温め、詰まった脂をやわらかくして流れを改善します。
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点眼や軟膏:炎症を抑えるために処方されることがあります。
手術的治療
保存的治療で改善しない場合には、局所麻酔をして小さく切開し、中の内容物を取り出します。
処置は日帰りで可能で、手術後はすっきり改善することが多いです。
⑥ 鑑別が大切:麦粒腫(ばくりゅうしゅ、ものもらい)
霰粒腫とよく間違えられるのが麦粒腫です。
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麦粒腫は「まぶたの毛穴や脂腺に細菌が感染して膿がたまった状態」で、一般に「ものもらい」と呼ばれます。
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特徴は赤く腫れて痛みが強いことで、膿がたまると黄色く盛り上がることもあります。
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治療は抗菌薬の点眼や軟膏、場合によっては切開して膿を出すことが必要です。
つまり、**霰粒腫は「脂の詰まりによるしこり」、麦粒腫は「細菌感染による腫れと痛み」**という違いがあります。両者は見た目が似るため、眼科での診断が安心です。
まとめ
霰粒腫はまぶたの脂腺が詰まってできるしこりで、痛みは少なく、自然に治ることもありますが、長引く場合は手術で治療できます。
一方で、赤く腫れて痛いものは麦粒腫(ものもらい)の可能性があります。まぶたにしこりや腫れを感じたときは、自己判断せず、眼科で診てもらうことをおすすめします。
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