[No.4042] 渋谷のハロウィンと“見られる社会”――目と視覚から考える季節の行事と防犯

渋谷のハロウィンと“見られる社会”――目と視覚から考える季節の行事と防犯

今回は、「かぼちゃ祭り＝ハロウィン」と渋谷、そして「見られること」が私たちの視覚や社会にどう関わっているかを、歴史・文化・最新事例を交えてお話しします。

ハロウィンの起源と名称

ハロウィン（Halloween）の起源は、古代ケルト人の祭り「サウィン祭（Samhain）」とされています。収穫の終わり、冬の訪れ、そして先祖や霊がこの世とあの世を行き交う時期として、死者を敬い、魔除けを行う日でした。やがてアイルランドからの移民を通じてアメリカに伝わり、19世紀以降、10月31日を中心に「仮装」「トリック・オア・トリート」「ジャック・オー・ランタン（かぼちゃのランタン）」などの風習が定着していきます。イベントも各地で行われていますが、一般には10月末のハロウィンが最も知られています。

日本でのハロウィンと渋谷の盛り上がり

日本でもハロウィン文化が取り入れられ、特に都市部で仮装やイベントとして定着してきました。その中心地のひとつが渋谷です。渋谷で人が集まるようになったのは 2002 年 F IFA ワールドカップ頃と言われています。渋谷・原宿エリアの若者文化、メディアの発信力、交通アクセスの良さなどから、10月31日近辺に多くの人が集まるようになりました。 例えば、2024年の渋谷ハロウィンでは、「渋谷ハロウィンナイトフェス2024」が 10月25日（金）〜10月31日（木） にかけて開催され、多くの仮装した来街者でにぎわいました。 また、渋谷区は例年、ハロウィンの前日・当日や直前の週末を含め、スクランブル交差点周辺などで混雑対策をとります。たとえば、2024年10月25日、26日、30日、31日には駅前での通行規制や警備強化、路上飲酒の禁止などが実施されました。

かぼちゃ・目・視覚のつながり

ハロウィンといえば「ジャック・オー・ランタン（かぼちゃのランタン）」が象徴的です。かぼちゃをくり抜き、中に火を灯した顔――特に目の部分――が、暗闇に微弱な光で人を「見る／見られる」象徴になります。

また、かぼちゃには視力維持に必要な栄養素、特に β-カロテン（ビタミンAの前駆体）が豊富で、夜盲症予防などに効果があります。このように「目」と「見える」というテーマは、文化・行事・健康のすべてで関わってきます。

現代社会と“見られること”：防犯カメラと監視

現代人は、いつどこで誰かに見られているかわからない社会に住んでいます。監視カメラの普及により、公共の場での行動が映像として残ることは珍しくありません。たとえば、最近渋谷で騒ぎを起こした人が、防犯カメラの映像を基に山梨で逮捕された、というような事例があります。これは「目」による監視が、法律・治安の面でも成果をあげている具体例です。目は単なる感覚器ではなく、社会的義務を果たす手段でもあります。

渋谷のハロウィンと「見られること」の交差点

渋谷ハロウィンでは、スクランブル交差点や駅前、センター街などの公共スペースが、仮装した人々であふれます。そこでは「見られること」が、ファッションや自己表現の一部になります。同時に、混雑やマナー違反、犯罪行為を抑止するための監視も強まります。渋谷区が、ハロウィン期間に駅前の出入りを制限したり、柵を設置したり、警備員と警察を動員したりするのは、その「見られる空間」を管理する取り組みです。 

まとめ：目・視覚を大切にする視点から

• ハロウィンはもともと暗さ・霊・収穫などと関わる祭りで、「目で見る」「目に見えないものを感じる」という感覚が根底にあります。

• ジャック・オー・ランタンの“目”は象徴となり、仮装という「他者にどう見られるか」を意識する行為とつながります。

• 防犯カメラなど監視の目は、見られることに不快感を持つ人もいますが、安全・秩序のための目として機能しています。

• 医学的には、かぼちゃなどに含まれる栄養素が目・視力の維持に役立つことが証明されており、文化と健康が交わる例です。