この花はルリマツリ(瑠璃茉莉、英名:Plumbago auriculata)です。南アフリカ原産の常緑低木で、温暖な地域では初夏から秋にかけて長く花を咲かせます。名前の「ルリ(瑠璃)」は美しい青紫色を、また「マツリ(茉莉)」はジャスミンの和名から取られていますが、実際はジャスミンとは異なる植物です。学名の「Plumbago」はラテン語の“鉛(plumbum)”に由来し、古代ローマ時代には鉛中毒の治療に使われたと伝えられています。
ルリマツリは日当たりを好み、やや乾燥気味の環境を好む強健な植物です。花は直径約3cmほどで、5枚の花弁が星形に開き、淡いブルーから青紫のグラデーションを帯びます。花の後にできる花柄の部分には粘液があり、虫や衣服に付きやすいのが特徴です。観賞用として庭木やフェンス沿いによく植えられ、温暖な地方では半つる性で枝が伸び、自然に垂れ下がるように咲く姿も見られます。
眼にまつわるトリビア
ルリマツリには直接的な「眼病治療」の効能は知られていませんが、属名のPlumbagoが示すように古代ヨーロッパでは“炎症を鎮める薬草”として用いられてきた歴史があります。特に、皮膚のただれや外傷の洗浄に使われた記録があり、現代で言えば「抗炎症・抗菌植物」としての位置づけでした。花の淡い青色は、眼科で使われる「青色光フィルター」を連想させる色合いで、眺めていると光の刺激を柔らげるような穏やかな印象を与えます。実際、青紫色は視覚的に「鎮静効果」をもたらす色として知られ、長時間パソコン作業で疲れた目を休める際に、青系の光景を眺めることがリラックス効果をもたらすともいわれています。
まとめ
高円寺の露地に咲くこのルリマツリは、強い日差しを受けながらも涼やかに咲き続ける花。秋の陽ざしの中で咲く青い花は、目にも心にも優しく映り、日々の喧噪の中で静かな安らぎを与えてくれます。眼科医の立場から見ても、「青い花を眺めて目を休める時間」を持つことは、現代人にとって大切な“眼の休息法”のひとつといえるでしょう。



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