コンタクトレンズ再診はなぜ必要? ― 見え方の調整だけでなく「目の健康」を守るために
コンタクトレンズを長く快適に使い続けるためには、度数をわずかに変えるだけの再診でも、いくつかの大切なチェックが欠かせません。患者さんの中には「ただ新しいレンズが欲しいだけなのに、なぜ検査が必要なの?」と感じる方もいらっしゃいますが、私たちが再診時に確認しているのは、見え方の問題だけではなく、眼の健康そのものを守るためです。
まず確認するのは、現在のレンズ度数でどのくらい見えているかという「視力」と、わずかな度数調整が必要かどうかという点です。視力の変化はご本人では気づきにくいことが多く、オーバーレフといって今の度数に上から微調整を加える検査で、より快適な度数を探します。老視が始まる年代では、近くの見え方も合わせて確認します。
次に、装用しているレンズが眼に正しく合っているか、つまり「フィッティング」をチェックします。角膜の上でレンズがずれていたり、動きが少なすぎると、酸素が届かず角膜障害の原因になります。ソフトレンズでも、形や素材によって涙の通り方が変わるため、位置と動きを細かく観察します。
さらに重要なのが、角膜や結膜の健康状態です。スリットランプという顕微鏡で、角膜の傷、結膜の充血、アレルギー性変化、レンズ汚れなどを確認します。乾燥や痛みを感じていなくても、表面に小さな異常があることは珍しくありません。ドライアイ傾向がある場合は、涙液の状態を調べ、装用時間やレンズの種類を調整します。
また、見え方や装用感に関する自覚症状、装用時間、仕事や生活環境なども伺います。コンタクトレンズは眼鏡とは異なり、眼の上に直接のせて使う「医療機器」です。そのため、わずかな不具合でも長期間の使用で問題を起こすことがあります。
さらに、従来の診察で緑内障ではないことを確認していない場合には、視神経や網膜の健康を確認するためのOCT(光干渉断層計)検査や眼底検査も行います。これにより、視神経乳頭の陥凹や網膜神経線維層の欠損がないかを確認し、見え方の変化が単なる屈折の問題なのか、それとも疾患に関連するものなのかを判断します。
再診時のこれらの確認は、「今のまま使っても安全か」を確かめる大切な時間です。検査の結果、これまで通りのレンズが最適と分かることもありますし、度数や素材のわずかな調整で見え方や快適さが大きく向上することもあります。定期的なチェックを受けることで、眼を守りながら快適にコンタクトレンズを続けていくことができます。



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