コンタクトレンズ・眼鏡処方

[No.2255] 「コンタクトレンズ」を使うならかかりつけ医が必要な3つの理由

① 「コンタクトレンズ」を使うならかかりつけ医が必要な3つの理由:自著記事

コンタクトの普及とともにトラブルも増加している

コンタクトの普及とともにトラブルも増加している

 コンタクトレンズ(以下CL)の全国の使用者数は推定1500万~2000万人。国民の約10人に1人が装着している計算だ。近年は視力補正のためだけでなく、カラーCLや黒目を大きく見せるサークルレンズなどがおしゃれアイテムとして人気になっている。さらに遠近両用コンタクトも普及し、若者から高齢者まで幅広い世代で使用されるようになった。半面、CLが「高度管理医療機器」という意識が薄れ、トラブルも増加している。改めてなぜ、CLにはかかりつけ眼科医が必要なのか。眼科専門医で「自由が丘清澤眼科」(東京・目黒区)の清澤源弘院長に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

①眼障害を防ぐ

「一番の理由は、CLによる眼障害を防ぐためです。CLにはサイズが大きくフィット感が良く、CL初心者や運動する人に向いているソフトCL、強い近視や乱視の矯正に優れたハードCLがあります。それぞれに使い捨てや長期使用タイプがあり、素材や管理の仕方も異なります。自分に合うCLでなかったり、正しい管理でなければ、視力が十分出なかったり、目に障害を受け、最悪、失明の恐れすらあります。自分にどのCLが合うのか、どう使うのか、眼科で定期検査して常に正しい使い方を学ぶ必要があるのです」

 実際、CLが高度管理医療機器にもかかわらず、1日使い捨てタイプのCLを何日も使い続けて角膜潰瘍を起こしたり、水道水でレンズを洗うことで起きるアカントアメーバ角膜炎などを患う人は後を絶たない。

 救急外来の眼科にかかる患者の5~10%はCLによるトラブルで、そのうち3割が入院を要する重症患者だとの情報もある。

②見え方に差が出る

 同じ種類のCLを装用していても、見え方が変わることがある。それはCLのフィッティングに差があるからだ。

「人によって角膜(=いわゆる黒目)の大きさは異なります。その人に合ったサイズのCLを使い、CLの曲率が目の形に対して平坦すぎたり、急すぎたりしないことが大切です。適切なCLはセンタリングが良く、きちんと角膜を覆い、まばたきによって動きすぎることなく動き、レンズの下の涙液交換が行われ、不要物を排除できる状態です。ルーズなフィッティングは目に違和感があるだけでなく、視力が安定せず、目に損傷を与えることにもなりかねません」

 そのため、眼科医は必要に応じて、角膜計や角膜トポグラフィー(角膜形状測定装置)で角膜の曲率を測定して、その人に合ったレンズカーブとサイズを選択し、涙液層評価を行うことで極度のドライアイでないことも確認する。細隙灯顕微鏡を用いることで角膜の健康状態を調べてCLの装用に適しているか、CLの装用が目に害を及ぼしていないかを調べる。

③目の病気の早期発見と新情報の入手

 40代にもなると老眼が顕在化してくる。眼科医による定期検査を受けていれば、こうした目の老化に加えて白内障や緑内障などの目の病気を早期に発見し、対処できる。「老眼は放っておくとイライラするだけでなく、頭痛や肩こりといった症状も出ます。近年は老眼用の遠近両用CLが充実しています。眼科医を定期受診していれば、それに切り替えるタイミングも知ることができます」

 また、CLに関する新たな使い方を紹介してもらえる場合もある。

「CLを使った老眼の矯正方法には、弱めのCLに変える方法や遠近両用CLにする方法以外にも、モノビジョンを利用した方法があります。モノビジョンとは、片方の目は近くを見えるようにし、もう片方は遠くが見えるようにレンズを選び、両目で見たときに脳がそれぞれの像を認識し、近くも遠くも同時に見えるようにします。具体的には左右異なる矯正状態のCLを使うやり方です」

 また、定期的にかかりつけの眼科に通うことで、新たな商品情報も入手できる。

「ソフトCLには表裏があり、間違って装着すると見えにくく、目を傷つける原因にもなります。ところが、CLブリスターの構造上、指にとってから表裏を確認する必要があり、結果的に目に直接触れる裏側にも触ることがありました。しかし、包装を工夫して裏面に触れることなく、装着できる商品も登場しています。また、いまは2週間や3カ月使い捨てタイプのハードCLも発売されています。近視や乱視が強く、ソフトCLでは視力が出にくい人にとっての新たな選択肢ともなっています」

 人生100年時代。目は情報の7割を得る大切な臓器であり、CLはそれを矯正する高度医療機器だ。

 CL使用者は眼科専門医を定期的に受診し、アドバイスを受ける用心深さが必要だ。

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