社会・経済

[No.4173] 世相を見る:米株式市場に「過熱警報」―バフェット指標が示す危うさ

世相を見る:米株式市場に「過熱警報」―バフェット指標が示す危うさ

高市政権の発足を見てそれに対する国内外の支持率も高い状況だったが、ここにきて不安要素も出てきた。

米国株式市場は2025年4月の安値からわずか数カ月で36%も上昇し、かつてない高揚感に包まれている。しかし今、伝説的投資家ウォーレン・バフェット氏が重視する「バフェット指標」が、冷ややかな警告を発している。エミンユルマズ氏も同様の警告を発している(図)。

この指標は株式市場全体の時価総額を国内総生産(GDP)で割った値で、市場がどれだけ実体経済と乖離しているかを示す。通常1倍(=時価総額=GDP)を超えると警戒水準とされるが、現在の米国株はGDPの2倍超(約72兆ドル)に達しており、「行き過ぎた熱狂」の状態だと分析されている。

バークレイズ証券のストラテジスト、ステファノ・パスカーレ氏らは「この指標は株式が過大評価されていることを示唆しており、バブル的状況との懸念に共鳴する」と警鐘を鳴らす。過去にも同様の過熱局面で警告が出されながらも、その後にS&P500が最高値を更新した例はあるものの、長期的には調整局面が避けられなかった。

もっとも、この指標は企業の国際展開や金融政策の影響を十分に反映していないため、「万能ではない」との意見もある。それでも、バフェット氏が長年の経験からこの数値を「株式市場の温度計」として用いてきた事実は重い。

短期的な上昇の陰で、実体経済との乖離が広がる今、投資家も私たちも、熱狂の裏に潜む冷静な視点を忘れてはならない。

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