社会・経済

[No.391] 「ふじみ野市の訪問医療医師射殺事件」であらわになった 訪問看護・介護の過酷な現場:記事紹介

清澤のコメント:【橘玲の日々刻々】という雑誌記事に眼科医としてスルー出来ない記載を見つけました。上級国民・下級国民というやや品のない言葉を作った筆者ですが、まず投稿の要点をまとめてみよう。「モンスター」に共通するのは極端な被害者意識で、自分はなにひとつ悪くなく、他人がすべて悪いという「他責性」。男性は怒りが特定の相手に向かいやすく、時には無差別殺人を引き起こす。もう一つ、確かに医療介護に現場は追い詰められている。

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人類史上未曾有の超高齢社会になった日本では、今後、社会から孤立した中高年による「下級国民のテロリズム」が散発的に発生するだろうと書いた。直後に、訪問医療の医師が射殺されるという事件が起きた。

 加害者は66歳無職の男で、生活保護を受けながら自宅で90歳を超える母親を介護していた。地元の医療関係者に「モンスター介護者」として有名だった。

 トラブルの原因は、自宅で母親に胃ろうをつくる要求を医師から断わられた。医師らも揉め事に備えて男7人で訪問していた。医療関係者のあいだでは、無理な延命を要求するのはたいてい親の年金で暮らしている家族で、「年金大黒柱」と呼ばれる。親が死んでも届け出さずに年金を受給しつづけるのが「年金ミイラ」。精神的にも経済的にも母親に依存していたことは間違いないだろう。

 こうした「モンスター」に共通するのは極端な被害者意識で、自分はなにひとつ悪くなく、他人がすべて悪いという「他責性」自分の置かれた状況があまりに絶望的なので、もはやそれを合理的に説明できなくなり、個人的な「陰謀論」によって不協和を解消しようとする。女性の場合、絶望は内に向かい、うつ病や自殺未遂につながるが、男性は怒りが特定の相手に向かいやすく、時には無差別殺人を引き起こす

 「モンスター」の怒りの標的になると被害は甚大だが事実上、患者の診療を断ることができない。大阪のクリニック事件が典型。精神医療の現場では医師と患者の関係がこじれることはよくあり、対応に苦慮しているようだ。

 より深刻なのは訪問看護・介護の現場で、女性の看護師・介護士が一人で自宅を訪れることも多く、約半数が利用者や家族から、身体的暴力をともなうハラスメントを受けたという調査もある。この問題には、安直な解決策がない。確かなのは、報酬が安いばかりか生命の危険まである仕事の担い手が、早晩、いなくなることだろう。『週刊プレイボーイ』2022221

 

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