糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜疾患

[No.4347] 加齢黄斑変性の治療指針の概要を素人向けに紹介します。

加齢黄斑変性(AMDAge-Related Macular Degeneration)に関する新しい診断指針を、眼科医でない患者さんや一般の方向けに分かりやすく要点をまとめた解説です。最新のガイドライン改訂内容(主に2024年に日本および国際的な診療指針が更新された点)にも触れています。

1.加齢黄斑変性とは何か?

加齢黄斑変性(AMD)は、網膜の中心にある黄斑(おうはん)という視覚の要となる部分が加齢とともに変性し、中心視力(読字や顔認識など細かい視覚)を失う病気です。完全な失明には至らなくても、日常生活の質を大きく低下させることがあります。症状は、ゆがみ(変視)、ぼやけ、中心暗点などです。

従来、AMDは「乾性(萎縮型)」と「滲出性(しんしゅつせい;血管が関与するタイプ)」に分けられていましたが、最新の診療ガイドラインでは分類・用語体系の見直しが行われています

2.新しい診断指針の全体的なポイント

1)年齢制限がなくなった

これまでAMDは原則として「50歳以上の加齢性変性」とされてきましたが、**最新ガイドラインでは年齢条件が診断基準から外されました。**これは、比較的若い40代でもAMDが見られるケースがあり、年齢による線引きが診断を遅らせる可能性が認識されたためです。

つまり、「高齢だから」とだけでなく、「症状や検査でAMDが疑われたら診断を検討する」ことが推奨されています。

3AMDの分類と診断基準の変更

新指針ではAMDの病型・病期をより整理しており、主に以下のような分類が使われます。

1)病型による分類

  1. 萎縮型AMDDry AMD
     黄斑部の組織が徐々に薄くなり、視機能が低下するタイプ。
  2. 新生血管型AMDNeovascular AMD, nAMD
     黄斑部に新しい血管が異常に成長し、出血やむくみを起こすタイプ。

 従来は「滲出型」と呼ばれていましたが、「新生血管型」という用語が国際標準に合わせて用いられるようになっています。

2)病期(進行段階)による分類

AMDは病気の進行度に応じて、早期中期後期末期として評価されます。
初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、眼底検査や画像検査で異常が発見されます。

4.診断に使う検査とその役割

新しい指針でも、AMDの診断・病期判定には複数の検査が用いられます。以下は代表的なものです:

視力検査と自覚症状の確認

中心視力の低下、ゆがみ(変視)など具体的な症状を伺います。

眼底検査

黄斑部を詳しく観察し、ドルーゼン(黄斑下の老廃物の堆積)や色素異常を見ます。

光干渉断層計(OCT

現在の診断で最も重要な検査です。網膜の層構造やむくみ、液体貯留、新生血管の有無などを精密に捉えることができます。従来の眼底写真に比べて早期病変の検出感度が格段に高いとされ、日本のガイドラインでも中心的な役割を担っています。

④ OCTアンギオグラフィー

OCTの技術を応用し、新生血管の有無を非侵襲的に画像化する手法です。造影剤を使わずに血管の状態を詳しく調べられます。

眼底自発蛍光(FAF)/カラー眼底写真

黄斑の代謝異常や色素上皮の損傷を評価するための補助検査です。

5.「パキコロイド」という新しい概念

最新のガイドラインでは、「パキコロイド」という脈絡膜(網膜の外側の血管層)が厚い状態が注目されています。これは一部のAMD患者で高頻度に認められ、病態や進行と関連する可能性が指摘されています。特に新生血管型に関しては、この評価が診断・治療方針の決定に役立つと考えられています。

6.診断の考え方と患者へのメッセージ

1)早期発見の重要性

初期のAMDは自覚症状がほとんどありませんが、定期的な眼科検診とOCTによる詳細な検査が、進行を遅らせる重要な鍵になります。とくに視界のゆがみや暗点、読字困難などの兆候があれば、早めの受診をおすすめします。

2)リスク因子への対策

喫煙、加齢、強い紫外線曝露、家族歴などがリスクとして知られています。特に喫煙はAMD進行のリスクを大きく高めるため、禁煙が強く推奨されます。AAO

7.まとめ

最新の加齢黄斑変性の診断指針の主なポイントは以下の通りです:

  • 年齢条件(50歳以上)を撤廃し、症状・検査に基づく診断に重きを置くようになった。
  • 用語と分類が見直され、「新生血管型AMD」という国際標準用語を採用。
  • OCT/OCTアンギオグラフィー等の画像診断が中心的な役割を果たす。
  • パキコロイドなど新しい評価項目が診断・治療方針の検討に加わった。

これらは、早期発見・適切な管理によって視機能低下を最小限に抑えるために重要な更新点です。患者さんへの説明では、病気の進行段階の自覚が難しいこと、検査による客観的評価が重要であること、生活習慣の改善が役に立つことを丁寧に伝えると理解が深まります。

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