【今年も国際緑内障週間が始まります】
毎年3月、世界各国で「国際緑内障週間(World Glaucoma Week)」が行われます。この期間(3月9日日曜ー3月15日土曜)は、緑内障という病気への理解を深め、早期発見の重要性を社会全体で共有することを目的とした国際的な啓発週間です。
日本では日本緑内障学会が中心となり、
「緑内障は自覚症状に乏しく、発見が遅れると失われた視野は回復しない。社会全体で関心を高め、早期発見につなげることが重要である」
という趣旨の公式メッセージを発信し、全国各地で啓発活動が行われています。
街が緑に染まる理由
国際緑内障週間の象徴的な取り組みの一つが、都市の有名な建造物を緑色にライトアップする活動です。
これまで日本各地で、札幌テレビ塔、松本城、東京タワー、名古屋テレビ塔、神戸ポートタワーなどが、期間中に緑色の照明で彩られてきました。
これらの建物がいつもと違う「緑色」に照らされることで、市民の方が
「今日は何か特別な日なのだろうか?」
と足を止め、緑内障という病気に関心を持つきっかけが生まれます。説明文がなくても視覚的に注意を引ける点が、この啓発方法の大きな特徴です。
当院での取り組み ― 小さなライトアップでも意味がある
当院でも、この趣旨に賛同し、国際緑内障週間に合わせてエントランスのダウンライトに緑色のセロハンを用い、入口をやさしい緑色で照らす取り組みを行います。
大規模なランドマークではありませんが、
「今日は入口が緑色ですね」
という患者さんの一言から、緑内障の話題につながることがあります。こうした小さな対話の積み重ねこそが、地域医療における啓発活動の原点だと考えています。
トリビア:なぜ緑内障は「グラウコーマ」と呼ばれるのか
緑内障は英語では glaucoma(グラウコーマ) と呼ばれます。この言葉は、古代ギリシャ語の glaukos(青緑色、灰緑色)に由来しています。
紀元前後の時代、急性緑内障発作を起こした眼では、角膜が白く濁り、瞳孔の奥が青緑色がかって見えることがありました。当時の人々はこの特徴的な外観から「緑色に見える眼の病気」と捉え、それが現在の病名につながったと考えられています。
この「緑」というイメージは、現代の国際緑内障週間における建物を緑に照らすという象徴的な表現にも受け継がれています。
緑内障は静かに進行します
緑内障は、初期には自覚症状がほとんどありません。しかし進行すると視野が徐々に欠け、いったん失われた視機能は元に戻りません。だからこそ、
40歳を過ぎたら症状がなくても定期的に眼科検査を受けることが何より重要です。
街や建物、そして当院の入口が緑に染まるこの一週間が、
「自分の目は大丈夫だろうか」と立ち止まって考えるきっかけになれば幸いです。



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