白内障

[No.4463] 最近の白内障手術ではどんなレンズが選ばれているのか ――単焦点・多焦点・乱視矯正レンズの割合と自己負担の目安――

最近の白内障手術ではどんなレンズが選ばれているのか

――単焦点・多焦点・乱視矯正レンズの割合と自己負担の目安――

私の眼科医院では白内障手術は行っておらず、白内障が進行して手術が必要と判断され、ご本人が希望される場合には、近隣の眼科クリニックや病院眼科をご紹介しています。実際の手術方法や、どの眼内レンズを使うかについては、手術を担当する医師と患者さんとで十分に相談して決めていただくことになります。

ただ、紹介の際によく聞かれるのが、「最近はどんなレンズが多く使われているのですか」「それぞれ、自己負担はいくらくらいかかるのですか」という質問です。手術を受けるかどうかを考える段階で、費用や選択肢の全体像をあらかじめ知っておきたい、というのはとても自然なことだと思います。そこで今回は、日本全体で実際にどのようなレンズが選ばれているのか、そして外来で白内障手術を受けた場合、3割負担の患者さんではどの程度の自己負担になるのかを、分かりやすく整理してみました。(2024年データ)

まず、レンズの種類と選ばれている割合についてです。日本で行われている白内障手術の多くでは、いわゆる「単焦点レンズ」が使われています。これは、遠くか近くのどちらか一方にピントを合わせる最も基本的なレンズで、全体のおよそ8割以上を占めています。この単焦点レンズの中には、角膜の乱視を同時に矯正できる「乱視矯正(トーリック)レンズ」もあり、単焦点レンズを使う手術のうち1割強で選ばれています。つまり、日本全体で見ると、白内障手術の約9割は単焦点系のレンズが使われている、というのが実情です。

一方で、遠くも近くもなるべく眼鏡なしで見えることを目指す「多焦点レンズ」は、以前より話題になることが増えていますが、実際に使われている割合は全体の5%前後にとどまっています。多焦点レンズの中にも乱視矯正ができるタイプがあり、これは多焦点レンズを選ぶ方の約3割程度に使われています。ただし、全体から見ると、多焦点かつ乱視矯正というケースはごく少数です。

次に、患者さんの自己負担についてです。まず、単焦点レンズ(乱視矯正を含む)を使った白内障手術は健康保険の対象です。外来で片眼の手術を受けた場合、3割負担の方であれば、検査や薬の費用も含めて、おおよそ4万~5万円前後が一つの目安になります。医療機関によって多少の差はありますが、大きく外れることはあまりありません。

これに対して、多焦点レンズを使う場合は「選定療養」という扱いになります。手術そのものや基本的な診療部分は保険が使えますが、多焦点レンズ自体の費用は全額自己負担となります。そのため、単焦点の場合と同じく4~5万円程度の保険診療の自己負担に加えて、レンズ代として片眼あたり20万~30万円前後が必要になることが多く、合計では25万~35万円程度、乱視矯正付きの場合はそれ以上になることもあります。このレンズ代は医療機関やレンズの種類によって幅があり、高額療養費制度の対象にならない点も、事前に知っておくことが大切です。

白内障手術は視力を回復させる非常に確立された手術ですが、レンズの選択によって見え方や生活のスタイル、費用の考え方が変わってきます。どれが「一番良い」という単純な答えはなく、年齢、生活習慣、眼の状態、そして何を大切にしたいかによって最適な選択は異なります。紹介先での説明を受ける際に、こうした全体像を頭に入れておくことで、より納得のいく判断につながるのではないかと思います。

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