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[No.4548] 自由が丘の店主が語る「3年・5年・10年の壁」 ―小さな店が生き残る時間の物語―

自由が丘の店主が語る「3年・5年・10年の壁」

―小さな店が生き残る時間の物語―

自由が丘でランチシリーズの取材を続けていると、個人経営のお店の店主から、しばしば同じ言葉を聞きます。

「この商売には、3年、5年、10年の壁がありますよ。」

最初に聞いたときは、経験則のようなものだろうと思っていました。しかし調べてみると、これは決して単なる感覚ではなく、飲食業界では古くから語られてきた「生存率」の現実に基づく言葉でもあるようです。

一般に、飲食店は開業のハードルが比較的低い反面、競争が激しい業種です。ある資料では、飲食店の約3割が1年以内に閉店し、3年以内では半数近くが姿を消すとされています。さらに厳しい見方では、3年以内に約7割、10年以内に約9割が廃業するとも言われています。こうした数字を見ると、なぜ店主たちが「3年の壁」を語るのかが理解できます。

多くの店は開業時にある程度の資金を準備しますが、売上が安定するまでには時間がかかります。家賃、人件費、仕入れなどの固定費を支えながら店を続けていると、ちょうど2〜3年目に資金や体力の限界が来ることが多いのです。これが「3年の壁」です。

そして、その壁を越えた店に次に訪れるのが「5年の壁」です。この頃になると、店は「流行の店」か「地域に定着した店」かの分岐点に立ちます。常連客が増え、味や雰囲気が街に受け入れられていれば、店は次第に安定していきます。逆に、コンセプトが曖昧だったり、競争に負けたりすると、この時期に撤退することになります。

さらに長く続いた店には「10年の壁」があると言われます。飲食業界では、5年続く店は半分ほど、10年続く店はさらに少ないとされます。10年続くということは、その店がすでに「街の文化の一部」になったということかもしれません。

自由が丘のような街では、個人の店主が小さな店を開き、自分の料理や空間を少しずつ磨きながら地域に溶け込んでいきます。そうした店が10年、20年と続いていくと、それは単なる飲食店ではなく、その街の風景そのものになります。

ここで、ふと自分の仕事にもこの話が重なって見えてきました。実はこの文章を書きながら、私自身の医院のことを思い出しました。自由が丘清澤眼科を開業してから、気がつけば4年余りが経ちました。医療と飲食では業種は違いますが、地域の中で仕事を続けるという意味では共通するところがあります。どうやら私の医院も、最初の「3年の壁」は越え、次の「5年の壁」を迎えようとしているようです。

街の小さなお店も、地域の医院も、長く続くためには共通の条件があります。それは「地域に必要とされること」、そして「少しずつ改良を続けること」なのかもしれません。

そう考えると、開業医レベルでの花粉症対応、小児の近視予防、緑内障の管理などが「地域に必要とされること」にあたるのかもしれません。また、ブログで眼科知識の発信を続けることも、「少しずつの改良」につながる行動だと自覚しました。実際、昨日の昼休みには、このブログとメルマガ配信でご協力いただいている三上さんに手伝っていただき、国際緑内障週間に向けて入口のダウンライトにグリーンのセロハンを掛ける作業をしました。小さなことですが、こうした積み重ねもまた、地域の皆さんに眼の健康を意識していただくきっかけになればと思っています。

自由が丘を歩きながら、10年、20年と続く店を見るたびに、その背後には多くの努力と時間があるのだろうと感じます。街の店主たちが語る「3年、5年、10年の壁」という言葉は、単なる経営の話ではなく、地域とともに生きる仕事の時間の重みを表しているのかもしれません。

出典

飲食店の生存率に関する統計資料(外食産業関連調査)

眼科医清澤のコメント

自由が丘で長く続く店には共通して「小さな改良を続ける姿勢」があります。医療機関も同じで、地域の患者さんに必要とされ続けるためには、日々の小さな改善の積み重ねが大切なのだと感じています。

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