子供の斜視について
4月になり、新しい学年が始まります。お子さんにとっては環境が変わり、学校生活にも少しずつ慣れていく時期です。この時期には学校での眼科検診も行われ、「視力」だけでなく「目の向き」についてもチェックされます。保護者の方が普段は気づきにくい「斜視」が、この検診をきっかけに指摘されることも少なくありません。
斜視とは、両目が同じ方向を向かず、片方の目が別の方向を向いてしまう状態をいいます。代表的なものとして、目が内側に寄る「内斜視」、外側に向く「外斜視」、上下にずれる「上下斜視」があります。ときどきだけずれる場合もあれば、常にずれている場合もあり、症状の現れ方はさまざまです。
斜視の問題点は大きく二つあります。一つは見た目の問題、いわゆる整容性です。お子さん自身が気にすることもあれば、周囲から指摘されることで心理的な影響を受けることもあります。もう一つは、より重要な「視機能」の問題です。
特に大切なのが「両眼視機能」です。これは左右の目を同時に使い、立体的に物を見る力のことです。人は両目で少しずつ異なる像を見ることで、距離感や奥行きを感じています。ところが斜視があると、脳は二重に見えるのを避けるために、片方の目の情報を無意識に抑えてしまいます。この状態が続くと、使われない目の視力が発達せず「弱視」になることがあります。また、立体感(遠近感)が十分に育たないこともあります。これは日常生活だけでなく、将来の職業選択にも影響する可能性があります。
では、斜視の治療にはどのような方法があるのでしょうか。まず基本となるのが「眼鏡」です。遠視などの屈折異常が原因で内斜視が起きている場合、適切な眼鏡をかけることで目の位置が改善することがあります。
次に「健眼遮蔽(けんがんしゃへい)」、いわゆるアイパッチです。よく見える方の目を一時的に隠し、弱い目を使わせることで視力の発達を促します。さらに、目の位置のずれが大きい場合には「斜視手術」が検討されます。これは目を動かす筋肉の位置や強さを調整する手術で、見た目と機能の両方の改善を目指します。
目黒区近辺でも、小児の斜視や弱視の診療・矯正を専門的に行っている眼科が複数あります。大学病院や総合病院だけでなく、小児眼科に力を入れているクリニックもありますので、かかりつけ医からの紹介や地域の情報を参考に受診されるとよいでしょう。当医院を受診いただければ、本格的治療を要する場合には専門施設への紹介も考慮します。
最後に大切な注意点です。お子さんの目が「時々ずれている気がする」「写真で片目の向きが違う」「片目をつぶって見ることがある」など、少しでも気になる様子があれば、様子を見過ぎずに早めに眼科を受診してください。斜視や弱視の治療は、早く始めるほど効果が高いことが分かっています。
学校検診はあくまできっかけに過ぎません。日常生活の中での保護者の気づきが、お子さんの大切な視機能を守る第一歩となります。どうぞ気軽に専門医にご相談ください。



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