ぶどう膜炎

[No.667] 強直性脊椎炎Ankylosing spondylitisとその眼症状

病気の概要

強直性脊椎炎の脊椎の変化

強直性脊椎炎は炎症性疾患であり、時間の経過とともに、脊椎(椎骨)の骨の一部が融合する可能性があります。この融合により、脊椎の柔軟性が低下し、腰をかがめた姿勢になる可能性があります。肋骨が影響を受けると、深呼吸が困難になる可能性があります。

強直性脊椎炎は、女性よりも男性に多く発症します。兆候と症状は通常、成人初期に始まります。炎症は、体の他の部分、最も一般的には目でも発生する可能性があります。

強直性脊椎炎の治療法はありませんが、治療によって症状が軽減され、病気の進行が遅くなる可能性があります。(https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/ankylosing-spondylitis/symptoms-causes/syc-20354808

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強直性脊椎炎(AS)にともなう眼症状(ぶどう膜炎)について

http://www5b.biglobe.ne.jp/~asweb/tomonokai/rakuchin/medical/budoumakuen.html

(沼賀 二郎・藤野 雄次郎h櫛の記載を参考に)

ぶどう膜におこる 炎症は虹彩炎(虹彩毛様体炎)と呼ばれ、ASの眼症状はこのぶどう膜炎によるものです。

 ASのぶどう膜炎は非肉芽腫性ですが、その特徴から 線維素性とも呼ばれます。ASに伴うぶどう膜炎は前房に線維素が見られ、炎症が強い時には前房蓄膿と呼ばれる白血球成分の沈殿が見られます。

線維素性のぶどう膜炎は虹彩と水晶体とに癒着(虹彩後癒着)を形成しやすく、これは緑内障などのいろいろな不都合を生じる恐れがあるため注意が必要です。強い視力障害がある時は炎症が強くまた癒着をおこしやすく、 視力障害がない場合は炎症が軽度であることが多く、虹彩後癒着を心配する必要はないものと判断されます。またASのぶどう膜炎は 前部ぶどう膜炎と呼ばれ、炎症が前の方に限局しており、他のぶどう膜炎とは異なり眼底に炎症を生じないことが特徴です。

 ぶどう膜のおこる頻度は日本人のAS患者さんでは約50%と考えられます。ほとんどの患者さんはASが発症した後に ぶどう膜炎を発症しており、また繰り返してぶどう膜炎をおこすことは少ないようです。

 次に症状ですが、ぶどう膜炎をひきおこしているときのみ、眩しさ、 眼痛、充血、飛蚊症を自覚いたします。ぶどう膜炎をおこしているときの 視力障害の程度はまちまちであり、全く障害を自覚しない人から、かなりの不便さを訴える人までがいます。ぶどう膜炎の継続期間はその時の炎症の程度により異なりますが、12ケ月間は継続するようです。

 治療は副腎皮質ホルモン(ステロイド)と散瞳剤の点眼が主体で、時に非ステロイド系の消炎剤の内服も行ないます。視力の予後は、適切な治療を施行すれば、ぶどう膜炎をひきおこす前の状態に戻り良好で、また部分的に虹彩後癒着が生じた場合も視力には影響がなく、他の合併症の 心配もありません。

 散瞳剤の点眼は癒着を予防するために必要ですが、そのひとつである アトロピンは作用時間が長く、患者さんが眩しさなど不快感を訴えることがありますので、炎症の強い時期にのみ用い、その後は作用時間の短い ミドリンPを使用するのがよいです。散瞳剤を使用している期間はサングラスを掛けるのも一計です。

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