高齢者に多い「マイボーム腺機能低下」とは
まぶたの縁には「マイボーム腺」という脂(あぶら)を分泌する小さな腺が並んでいます。この脂は涙の一部として、涙の蒸発を防ぎ、目の表面をなめらかに保つ大切な役割を担っています。
マイボーム腺機能低下(MGD)とは、この腺が詰まったり、分泌される脂の質が悪くなったりして、涙の安定性が低下する状態です。加齢により腺の働きが衰えるため、高齢者では特に起こりやすくなります。
自覚症状 ―「乾く」だけではありません
MGDでは、単なる「目の乾き」だけでなく、次のような症状がよく見られます。
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目がゴロゴロする、異物感がある
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しょぼしょぼして開けにくい
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かすんで見えるが、まばたきすると一時的に改善する
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目が疲れやすい
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目やにが増える、朝まぶたがくっつく
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充血しやすい
高齢の方では「年のせい」「白内障のせい」と思われがちですが、MGDが関与していることも少なくありません。
診察で分かる所見
眼科診察では、以下のような所見が参考になります。
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まぶたの縁が赤く、軽く炎症を起こしている
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マイボーム腺の出口が詰まり、白く濁った脂がにじむ
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まつ毛の根元にフケ様の付着物がある
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涙の膜が不安定で、すぐに乾いてしまう
これらは顕微鏡検査や簡単な圧迫で確認できます。
基本治療① 温罨法(おんあんぽう)
温罨法はMGD治療の基本です。
40℃前後の温かさでまぶたを温めることで、固くなった脂が溶け、マイボーム腺の流れが改善します。
やり方の目安
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蒸しタオルや市販のアイマスクを使用
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1回5~10分、1日1~2回
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「気持ちよい温かさ」を保つことが大切
毎日続けることで効果が出やすくなります。
基本治療② リッドハイジーン(まぶたの清潔ケア)
温罨法の後に行うとより効果的です。
まぶたの縁にたまった皮脂や汚れ、細菌をやさしく取り除きます。
ポイント
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専用の洗浄シートや泡タイプ洗浄剤を使用
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ゴシゴシこすらず、まつ毛の根元をなでるように
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1日1回を目安に習慣化
清潔を保つことで、再び詰まるのを防ぎます。
そのほかの対策
温罨法とリッドハイジーンに加え、次のような工夫も有効です。
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人工涙液点眼:脂層を補うタイプが有効なこともあります
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瞬目(まばたき)を意識:特にテレビやスマートフォン使用時
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室内環境の調整:加湿、風が直接当たらない工夫
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食事の工夫:青魚に含まれるω3脂肪酸は脂の質改善に役立つ可能性
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必要に応じた内服・点眼治療:炎症が強い場合は医師が判断します
おわりに
マイボーム腺機能低下は、**「年齢とともに起こりやすいが、日常ケアで改善が期待できる病態」**です。
目薬だけに頼らず、温罨法とリッドハイジーンを生活習慣として取り入れることが、症状軽減への近道になります。
気になる症状が続く場合は、自己判断せず、眼科での相談をおすすめします。



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