アベリノ角膜変性症(Avellino corneal dystrophy):その概要と治療 | 自由が丘 清澤眼科

角膜疾患

[No.3133] アベリノ角膜変性症(Avellino corneal dystrophy):その概要と治療

アベリノ角膜変性症を説明し、それに伴う視力低下に対する治療法を英文の文献をもとに挙げて、その有効性を1,500文字程度で論じてみましょう。

 

アベリノ角膜変性症(Avellino corneal dystrophy)は、角膜実質に顆粒状および格子状の混濁が生じる遺伝性疾患で、視力低下や眩しさ、異物感などの症状を引き起こします。この疾患は常染色体優性遺伝形式をとり、TGFBI遺伝子の変異、特に第5染色体長腕(5q31)に位置するアルギニンからヒスチジンへの置換(p.Arg124His)が原因とされています。 ドクターK1991

治療法とその有効性

アベリノ角膜変性症による視力低下に対する主な治療法は、エキシマレーザーを用いた治療的角膜切除術(Phototherapeutic Keratectomy: PTK)です。PTKは角膜の表層から実質の一部をレーザーで削除し、混濁を除去することで視力を改善します。 タネメム

PTKの有効性

PTKは角膜の浅い層に発生する混濁を効果的に除去し、視力を改善することが報告されています。しかし、アベリノ角膜変性症は遺伝的素因によるため、PTK施術後も数年以内に混濁が再発する可能性があります。再発時には、残存する角膜の厚みに応じて再度PTKを行うことが可能ですが、角膜の厚みが十分でない場合や混濁が深部に及ぶ場合には、角膜移植が検討されます。 加藤直子

LASIKとの関係

一方、レーシック(LASIK)は近視や乱視の矯正手術として広く行われていますが、アベリノ角膜変性症の患者に対しては推奨されません。LASIK施術後に混濁が再発・増悪し、視力低下を引き起こすことが報告されています。そのため、アベリノ角膜変性症の素因を持つ患者にはLASIKは避けるべきとされています。 加藤直子

遺伝子検査の役割

アベリノ角膜変性症の診断やリスク評価には、遺伝子検査が有用です。特に、屈折矯正手術を検討している患者に対しては、事前に遺伝子検査を行うことで、手術後の合併症リスクを低減することが可能です。 加藤直子

まとめ

アベリノ角膜変性症による視力低下に対しては、PTKが有効な治療法として認められています。しかし、再発の可能性があるため、定期的な経過観察と必要に応じた追加治療が重要です。また、LASIKは混濁の再発・増悪を引き起こす可能性があるため、アベリノ角膜変性症の患者には適応外とされています。遺伝子検査を活用することで、適切な治療選択と合併症の予防が期待できます。

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