眼瞼痙攣加療開始後に眼の下にできる隈(「ティアトラフ変形: “tear trough deformity”」または「下瞼の窪み:”lower eyelid hollowing.”」として知られています)について訴える患者さんが稀ながら居られます。眼の下の隈の一般的原因と診断、そして治療法を述べてください。眼瞼痙攣に関連した記載もありますか?
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原因
- 色素沈着: メラニンが増加することで、目の下が暗く見えることがあります。特に肌が濃い色の人に多く見られます。
- 血管の透け: 目の下の皮膚が薄い場合、血管が透けて青みや暗さを帯びた色合いに見えることがあります。特に疲労や脱水状態の際に強調されます。
- 脂肪やボリュームの減少: 加齢により、目の下の脂肪やボリュームが減少し、目の下がくぼみ、影が強調されて隈が目立つようになります。ボトックス投与後に皮膚の緊張がゆるんだところで、既存の眼窩脂肪の減少による変化に気が付くこともあると思われます。
- 遺伝的要因: 遺伝も大きな要因で、一部の人々は他の人よりも目の下の隈が目立ちやすい傾向にあります。
- ライフスタイルの影響: 睡眠不足や過剰なスクリーンタイム、喫煙やアルコール摂取は、目の下の隈の原因となり得ます。
- 健康状態: 貧血や甲状腺機能低下症など、特定の健康状態も隈に関与することがあります。
診断
診断には通常、眼科医や皮膚科医による臨床検査が含まれ、色素沈着、皮膚のたるみ、血管の問題などの基礎的な原因が特定されます。場合によっては、他の徴候が関連する疾患を示す場合に限り、構造を評価するための画像検査が行われることもあります。
治療法
- 外用薬:
o ビタミンCやレチノイド: 肌を明るくし、コラーゲン合成を促進するため、色素沈着や薄い皮膚による問題に推奨されます。
o 保湿クリーム: ヒアルロン酸などの成分が含まれる保湿クリームは、薄い皮膚の見た目を改善します。
- 注射:
o フィラー(例:ヒアルロン酸): 目の下のボリューム減少を補い、影を減らすために使用されます。
- レーザー治療:
o レーザーリサーフェシング: 色素沈着を改善し、コラーゲン生成を促進します。
o 血管レーザー: 血管の透けが原因の場合、その見た目を軽減します。
- 外科的治療:
o 下眼瞼形成術: 余分な皮膚や脂肪を除去し、皮膚のたるみや影を取り除きます。
- ライフスタイルの見直し: 睡眠の改善や水分補給、アルコール摂取の削減により、長期的に隈の改善が期待できます。
眼瞼痙攣との関連
眼瞼痙攣(まぶたの筋肉の不随意収縮)は、直接的に目の下の隈を引き起こすわけではありませんが、まぶたの筋肉の緊張やこすり過ぎが肌を刺激し、隈を悪化させることがあります。また、眼瞼痙攣患者は疲労を訴えることが多く、これが隈の見た目を悪化させる要因になる可能性があります。
基礎的な健康要因を特定し、適切な美容または医療的治療を用いることで、目の下の隈は効果的に改善することができます。
清澤注:フィラーについて眼瞼の治療をおこなう医師に問い合わせてみました。日本ではこのフィラーは私費診療なので相当な高額(7万円程度)の用意が必要なようです。希望されれば紹介いたしますが、先ずは、①ビタミンCや保湿クリームを用いて改善を待つ。②次回のボトックス投与では眼から離れた眼輪筋眼窩部への投与を減らす(または省略とする)などが考えられるでしょう。
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