眼瞼痙攣

[No.3085] 眼瞼痙攣ボトックス投与後の眼瞼下垂について

眼瞼痙攣に対するボトックス投与後に起こり得る上眼瞼の眼瞼下垂について

ボトックス治療を行う際には、まれに上眼瞼(上まぶた)が下がる「眼瞼下垂」という症状が現れることがあります。以下に、この症状の特徴や対策について説明します。(写真はボトックス後の下垂例ではありません)


1. 症状と所見

  • 症状:
    眼瞼下垂が発生すると、上まぶたが下がり、目を開けにくくなることや、視界が狭く感じることがあります。軽度の場合は違和感程度で済むこともありますが、重度の場合には物を見るために顎を引いたり、眉を上げたりする姿勢をとることがあります。

  • 所見:
    見た目として、片側または両側のまぶたが下がっているのが確認されます。通常、まぶたの動きそのものには異常がなく、永続的な筋力低下ではなく、一時的なボトックスの作用による影響です。また、治療後に写真を撮影しておくことで、回復の様子を後で確認することができます。


2. 頻度

ボトックス治療を受けた患者さんのうち、眼瞼下垂が発生する確率は一般的に1%未満とされています。自験例では、さらに少ない0.1%程度の印象です。非常にまれな合併症ではありますが、注意が必要です。


3. 原因

ボトックスが意図しない場所に作用した場合、特に上まぶたを支える「上眼瞼挙筋」やその周辺に拡散した場合に眼瞼下垂が発生することがあります。
これは、注射部位や量、深さなどの影響が関係します。投与後に眼周囲を揉まないよう患者さんに指導するのは、このようなリスクを避けるためです。


4. 医師が取り得る対策

  • 予防策:
    • 注射の位置を慎重に選定し、上眼瞼挙筋やその周辺に作用しないよう注意します。
    • 必要最低限の量で効果を発揮するように投与量を調整します。
  • 治療策:
    • 軽度の場合: 多くの場合、経過観察で自然に回復します。
    • 補助療法: 症状緩和のため、血行を促進する温罨法(温かいタオルをまぶたに当てるケア)を推奨することがあります。
    • 重度の場合: 内服薬(例:アルファ遮断薬)が処方されることがあり、症状軽減に役立つ場合があります。

5. 回復にかかる期間

ボトックスの効果が一時的であるため、眼瞼下垂も通常2~6週間以内に自然に回復します。まれに回復が長引くこともありますが、それでも3か月を超えることはほとんどありません。


6. その他の注意事項

  • ボトックス後の眼瞼下垂が日常生活に支障を与える場合は、早めに眼科医にご相談ください。
  • 今後もボトックス治療を継続する場合には、次回の注射時に部位や量をさらに調整し、再発のリスクを最小限に抑えるよう工夫します。

まとめ
眼瞼下垂は非常にまれな副作用ではありますが、適切な予防策と対応策を講じることでリスクを最小限に抑えることが可能です。不安な点がありましたら、いつでも医師にご相談ください。

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。