光過敏を持つ眼験痙患者へのHD グラスの応用:若倉雅登
清澤のコメント:金沢の学会では若倉雅登先生が光透過率の非常に低いハイデンシティー眼鏡を光過敏を訴える眼瞼痙攣患者に使用させて、その効果が良好であったとの報告をされました。私は、臨床活動の中で羞明を訴える眼瞼痙攣FL-41レンズを紹介しておりますが、このHDグラスというものは透過率が1.5%と文字通り真っ黒な印象の眼鏡です。試したい方は、和歌倉先生への紹介状発行も可能かと思われます。
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0-12-2の学会演題の抄録を採録して置きます。
光過敏、片頭痛、早朝効果を持つ眼験痙患者へのHD グラスの治療への応用
若倉雅登(わかくらまさと)、山上明子 井上眼科病院
【緒言】眼瞼症における即時型、運延型の光過敏症状は著しく生活の質を落とす。片頭痛合併例や朝起床時における症状軽減(早朝効果)を示す例で多い印象も持つ。そこで視感透過率1.5%のHD グラス(東海光学)を治療目的で試用した。
【方法】差明を自覚する眼瞼症63例を対象に昼の生活時間中、HDグラスを1回30分以上で1日2~3回装用させ、装用中、装用後、装用治療2か月後における自覚症状を悪化、不変、やや改善、かなり改善の4段階で自己評価させた。片頭痛既往の有無、早朝効果の有無、使用頻度ごとの解析もした。
【結果】片頭痛は30例(47.6%)、早朝効果は40例(63.5%)にみられた。装用中の改善は51(81.0%).装用後で45(714%)、2か月後 36例(57.1%)であった。2か月後では早朝効果群での改善が29例(72.5%)であり、早朝効果なし群との間に有意差があった(カイ二乗検定)。片頭痛の有無、使用頻度と効果間の比較では有意差はなかった。
【考察と結論】
早朝効果は光過敏を有する眼瞼痙攣に多く臨床的特徴である。片頭痛と本症の関連は不明であったが今回の対象は過去の疫学調査(6~8.4%)に比し6~8倍と高い合併率であった。HD グラスを用いた治療は差明を有する眼瞼痙攣患者への対応として、特に早朝効果あり群では考慮すべき選択肢である。
【倫理審査委員会等】承認を得ている【同意取得】取得済
【利益相反公表基準 該当】無
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