眼瞼痙攣

[No.3633] 重症筋無力症に伴う開瞼失行症(ALO) 

重症筋無力症に伴う開瞼失行:

重症筋無力症に伴う開瞼失行症(ALO 

重症筋無力症に伴う開瞼失行症が動画付きで紹介されています。以下は症例の概要と治療内容の詳細です。 

 症例概要 

患者は61歳男性で、重症筋無力症(MG)に関連する開瞼失行症(ALO)を呈していました。初期段階では右眼により重度の眼瞼下垂があり、時折完全な眼瞼閉鎖とその後の開瞼困難が見られました。この時点で眼瞼痙攣は認められず、MRI検査でも急性所見は示されませんでした。当初は眼瞼痙攣と診断され、ボツリヌス毒素注射による治療が行われましたが、6か月後に症状が悪化しました。 

症状の進行に伴い、頭部下垂、嚥下障害、構音障害、舌筋の低下、咀嚼時の疲労、複視、上下肢の筋力低下などが追加で現れました。アセチルコリン受容体抗体検査で陽性が確認され、EMG検査では左前頭筋の異常所見が示されました。また、胸部CTでは胸腺腫が否定され、MGが確定診断となりました。 

 治療経過 

患者はピリドスチグミン、ミコフェノール酸、プレドニゾン、免疫グロブリン静注による治療を受けましたが、その後症状の増悪で入院しました。増悪時には、構音障害、嚥下障害、疲労性眼瞼下垂、頭部下垂などが見られました。ALOが診断されましたが、プラズマ交換療法が施され、ALO以外の症状は劇的に改善しました。 

**清澤のコメント** 

開瞼失行症(Apraxia of Lid Opening)は、麻痺や筋力低下を伴わず、意識的な瞼の開閉が困難になる運動障害です。症状は額の筋緊張や頭部の傾斜、口を開ける動作などで改善される場合がありますが、多くは手で瞼を持ち上げる必要があります。私が経験したその症例の多くは眼瞼痙攣(ジストニア)に続発しており、単独にその症状を示すことは稀です。  

この症状は神経疾患と密接に関わり、眼瞼痙攣、進行性核上性麻痺(PSP)、パーキンソン病などが原因となり得ます。また、ボトックス注射や外科的手術を含む治療法も多様です。 

ALOの病態解明と効果的な治療方法の確立は患者の生活の質向上において重要です。この症例は、MG患者におけるALOの独特な臨床表現を浮き彫りにし、神経筋疾患における診断と治療の重要性を強調しています。 

原文: Ryan Naum et al., JAMA Neurol (2025).

Apraxia of Eyelid Opening in Myasthenia Gravis | External Eye Disease | JAMA Neurology | JAMA Network 

https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=aplaxia+of+lid+opening&&mid=AD8C6BCCC776B58999BDAD8C6BCCC776B58999BD&&FORM=VRDGAR

 

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