眼瞼痙攣

[No.3744] 眼瞼痙攣の治療を成功に導く10のヒント (2025年7月17日再加筆)

眼瞼痙攣の治療を成功に導く10のヒント

~ボトックス治療を中心に~(2025年7月17日加筆)

清澤眼科院長のコメント:

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)は、自分の意思とは関係なくまぶたが閉じてしまう病気です。ボトックス治療が主な対策になりますが、単に注射するだけでは不十分な場合もあります。そこで今回は、眼瞼痙攣の治療をより良いものにするための10の工夫をご紹介します。初めて治療を受ける方にも、すでに治療を受けている方にもお役立ていただければ幸いです。


1. 自分の症状を数値で把握する

まぶたの動きや不快感を客観的に知るために、「自己評価表(若倉表)」を活用します。まぶたのけいれんがどれくらい起きているかを0~10点で評価します。さらに「軽く」「速く」「強く」まばたきするテスト(0から9点)も使って、症状の強さを医師が把握します。

2. 涙の状態をチェックする

ドライアイがあると症状が悪化しやすいので、涙の量や質を調べます。必要に応じて人工涙液の点眼や、涙をせき止める液体コラーゲンプラグの挿入も行います。

3. 片側顔面けいれんとの区別

まぶたの片側だけがけいれんする場合、MRIで脳内の神経への小脳血管圧迫がないか確認します。ただし、典型的な眼瞼痙攣ではMRIは通常不要です。

4. 「まぶしさ」「痛み」には遮光眼鏡を

眼瞼痙攣の多くの方が「まぶしさ」や「目の痛み」を感じています。そのような場合は、専用の遮光眼鏡の装用を検討します。市販のサングラスでは不十分なこともあり、かけ試しが重要です。

5. ボトックス注射の工夫

症状の重さに応じて注射する量を調整し、副作用についても事前にしっかり説明します。注射の痛みを和らげるために、施術前にアイスパックで冷やしたり、局所麻酔クリーム(エムラクリーム、私費購入)を使ったりします。また、スマイルノートというボトックス効果を記入するノートも投与日に内容を記載してお渡しして、患者さんが気が付いたことを記入してもらい、次回受診時の提示を求めます。

6. 内服薬を併用する場合も

漢方薬「抑肝散加陳皮半夏(ツムラ83番)」は、症状の緩和に効果を示すことがあります。重症例では抗てんかん薬の一種であるリボトリールを併用することもあります。

7. 「クラッチ眼鏡」などの知覚トリック

目に指を添える特定の動作や、眼鏡の使用で症状が軽くなる方もいます。これは「知覚トリック」と呼ばれ、特製のクラッチ眼鏡などの活用が有効です。

8. 最終手段としての手術

注射や薬で十分な効果が得られない場合には、眼輪筋切除術(まぶたの筋肉を一部取り除く手術)という方法もあります。専門施設への紹介が必要です。

9. 心のケアも大切に

臨床心理士とのカウンセリング患者会(眼瞼・顔面けいれん友の会)参加も心の支えになります。「目と心の健康相談室」などもご案内しています。わたくしのメールマガジンも登録して毎週ご覧ください。

10. 原点に立ち返る

症状の種類や辛さは人それぞれです。運動症状だけでなく、まぶしさや精神的ストレスなど、患者さんの悩みをよく聞き、それに合った治療を心がけます


定期的な見直しと診察が大切です

ボトックス治療を始めたばかりの方は、2週間後の再診をお勧めします。その際、効果や副作用を確認し、必要に応じて他の対策を加えます。症状が安定した後は、患者さんの希望に応じて電話予約による施術も可能ですが、最近では一定の間隔で定期的にボトックスを受ける方法が効果的と考えています。


眼瞼痙攣はつらい症状ですが、工夫と継続的な対応によって、日常生活の質を大きく改善することができます。お気軽にご相談ください。

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