日本の眼科、わかりやすい臨床講座(94:6号700ページー)で、白内障の点眼治療が金沢医科大学の久保江理先生によってまとめられています。この記事によれば:白内障の遅延・抑制・治療効果を示す薬物治療薬の開発が必要とされている。白内障治療薬のスクリーニングは、これまで主に酸化ストレス、キノイド物質の蓄積、アルドース還元酵素(AR)の活性化という特定の発症要因に基づいて行われ、いくつかの抗白内障薬が使われてきた。近年、更に水晶体混濁を再透明化させる新規薬理物質(5-cholesten 3b, 25 diolとIanosterol)が注目されているとのこと。
ーーー清澤の追加での調査結果記載ーーー
〇 5-cholesten 3b, 25diol:化合物 29 (正式名、5-コレステン-3ベータ,25-ジオール) は、VP1-001 (ViewPoint Therapeutics) および 25-ヒドロキシ-コレステロールとしても知られ、コレステロールの誘導体であるオキシステロールです。 FARVO の Usha Andley 博士は、白内障の治療法としてのこの化合物の使用に関する研究を行っています。
〇 Ianosterol:ラノステロールは、真菌や他の動物から得られる天然のステロイドです。 ラノステロール点眼薬は、非外科的点眼薬と考えられています。 液体内容物は目に直接滴下されます。 ラノステロールに含まれる化学複合物は、目に蓄積したタンパク質を分解します。 したがって、白内障のさらなる進行を阻止します。
◎ 日本で白内障の進行予防に使われる点眼薬および内服薬を列挙し、その作用機序を説明します。米国で手術以外に提唱される治療法についてもお答えします。
日本で白内障の進行予防に使われる点眼薬は以下の3種類があります。
ピレノキシン(カタリン®、カリーユニ®):白内障の原因となるキノイド物質と水溶性タンパク質の結合を競合的に阻害することで、水晶体のタンパク質変性を抑制する。また、老視の予防効果も期待されています。
グルタチオン(タチオン®):抗酸化作用により、水晶体のタンパク質変性を抑制する。
チオプロニン(チオラ®):タンパク質不溶化抑制作用により、水晶体のタンパク質変性を抑制する。
日本で白内障の進行予防に使われる内服薬は以下の1種類があります。
唾液腺ホルモン(パロチン®):タンパク質不溶化抑制作用により、水晶体のタンパク質変性を抑制する。
これらの薬物は白内障を治すものではなく、白内障の進行を遅らせるものです。症状が軽い場合には目薬で対応する場合もありますが、症状が重くなった場合には手術が必要です。また、これらの薬物は医師の処方を受けて、指示に従って使用する必要があります。副作用としては、非常に稀ですが、充血、痒み、刺激感などがあらわれる場合があります。
米国で手術以外に提唱される治療法としては、サプリメント摂取による白内障予防効果が報告されています。マルチビタミンミネラルやルテインなどのサプリメントは、抗酸化・抗糖化作用を持ち、白内障の進行や発症を遅らせる可能性があります。ただし、これらのサプリメントは医薬品ではなく、効果や安全性については十分な科学的根拠が証明されていません。サプリメント摂取については医師や栄養士と相談することが望ましいです。
(1) 日本白内障学会. http://www.jscr.net/ippan/page-012.html.
(2) 白内障治療薬(点眼薬)の解説|日経メディカル処方薬事典. https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8329.html
(3) 白内障を薬物療法で治すことはできる? | 日本白内障研究会. https://j-crs.com/pharmacotherapy/
(4) 白内障の考えられる症状、原因、リスク、予防方法は何ですか?. https://www.msn.com/ja-jp/health/condition/Cataracts/hp-Cataracts
(5) 薬物による老視治療の可能性 – J-STAGE. https://www.jstage.jst.go.jp/article/cataract/33/1/33_13-010/_pdf/-char/ja
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