両眼の白内障と原発性閉塞隅角症の治療を終え寛仁親王妃信子さまが慶応大学病院で4日に、局所麻酔で両眼に眼内レンズを挿入する手術を受けられたが、無事退院されたということが報道された。
両眼が原発性閉塞隅角症と白内障という診断を受けていたそうで、白内障の治療のために眼内レンズの挿入手術を受けたことで隅角が広がり、原発性閉塞隅角症も改善されたという主治医の診断を受けられたと報道された。
清澤のコメント:加齢性白内障になると水晶体が膨潤して厚くなり、虹彩を前方に圧迫するために隅角が狭くなる。これを解除するにはいくつかの方法が考えられるが、本人の水晶体を摘出し、人工水晶体に変えること自体で隅角の狭窄は容易に解除される。白内障に原発開放隅角白内障が伴って眼圧が上昇気味であり、視野変化もきたしている場合に、従来は時期をずらして線維柱帯切除術を行うこともあったが、最近は侵襲の少ないMIGS(低侵襲緑内障手術)などの追加手術を行って眼圧の下降を図ることが有る。
今回は適用がなかったようだが、緑内障患者では手術時に勧められることもあると思われるので、MIGS(低侵襲緑内障手術)についてここで簡単に説明しておく。
- 緑内障とは
- 緑内障は、眼圧の上昇によって視神経が損傷を受け、視野が狭くなる病気。
- 日本では失明原因の第一位であり、早期発見と治療が重要。
- 様々な緑内障の治療方法
- 薬物治療: 点眼薬を使用して眼圧を下げる方法。
- レーザー治療: 隅角の線維柱帯に対してレーザーを用いて眼圧を調整する。
- 手術治療: 眼圧を下げるためのいくつかの手術(線維柱帯切除術やMIGS他)がある。
- MIGS(低侵襲緑内障手術)とは
- MIGSは「身体に負担の少ない緑内障手術minimal invasive glaucoma surgery」を指す。
- 眼圧を下げるために、白内障手術と同時に行い、眼の生理学的流出を改善する手術オプション。
- 従来の手術に比べて侵襲が少なく、回復が早く、合併症がほとんどないとされます。
- MIGSの手術方法
- カフックデュアルブレード: 隅角の線維柱帯を内側から切開して眼圧を下げる手術。
- iStent(アイステント): 内側から線維柱帯に挿入する微小なステント(金属製の管)で、眼内の房水をシュレム管に導き眼圧を調整する。
- まとめ
- MIGSは、緑内障治療の新たなステージを切り開いており、早めの手術で眼圧を下げることができる。私は、緑内障を合併した眼の白内障手術の紹介ではMIGSを選択肢に持っている眼科手術医に紹介状を書くように心がけています。
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