白内障

[No.2930] 白内障手術後の定期的通院の必要性について

白内障手術後の通院について

白内障の手術は、最近では入院せずに外来で行われることが多くなっています。手術後の経過観察や投薬、眼鏡の処方は、手術した施設ではなく手術前に通っていた診療所で行うことが一般的です。しかし、患者さんの中には、術後1ヶ月ほどは真面目に通院しても、その後通院を中止してしまう方が少なくありません。眼科医としては、本人に何の不都合もない場合でも、術後の定期的な通院をお勧めします。

定期的な通院の重要性

  • 後発白内障の発生: 白内障手術後、数ヶ月から数年後に後発白内障が発生することがあります。これは、手術で磨かれた水晶体の後嚢が再度濁る現象で、視力低下を引き起こします。定期的な通院により、早期に発見し、適切な治療を行うことができます。
  • 緑内障の発生: 白内障手術後、眼圧が上昇し、緑内障が発生するリスクがあります。緑内障は視神経にダメージを与え、視力を失う原因となるため、定期的な眼圧測定が必要です。
  • 眼底出血や網膜剥離: 白内障手術後、眼底出血や網膜剥離といった晩発性の重篤な合併症が発生することがあります。これらの合併症は、視力に永続的で重大な影響を与えるため、早期発見と治療が重要です。

推奨される通院スケジュール

私は、術後の定期的な通院は、以下のような間隔で行うことをお勧めします。(これは一例で間隔を2倍にする方法です。3倍でも良いでしょう。)

  • 1週間後: 手術直後の経過観察と初期の回復状況を確認します。
  • 2週間後: 初期の回復が順調かどうかを確認し、必要に応じて投薬の調整を行います。
  • 4週間後: 視力の回復状況や眼圧の測定を行い、後発白内障の兆候がないか確認します。早い人ではこのころに仮眼鏡を処方します。
  • 2ヶ月後: 長期的な回復状況を確認し、緑内障や他の合併症のリスクを評価します。
  • 4ヶ月後: 継続的な経過観察を行い、必要に応じて長期使用する遠近の眼鏡処方を行います。
  • 8ヶ月後: 後発白内障や他の晩発性合併症の兆候がないか確認します。
  • 1年半後: 長期的な視力の安定性を確認し、必要に応じて追加の治療を行います。

眼科医の患者さんへのアプローチ例

患者さんが定期的な通院を続けるためには、以下のようなアプローチが有効です。

  1. 教育と説明: 手術前および術後に、なぜ定期的な通院が重要かを詳しく説明することが大切です。具体的なリスクや合併症についても説明し、患者さんが理解しやすいようにします。
  2. リマインダーの設定: 診療所からのリマインダー(電話、メール、SMSなど)を活用して、次回の予約を忘れないように促すことができます。
  3. 家族の協力: 患者さんの家族にも通院の重要性を理解してもらい、サポートをお願いすることが有効です。
  4. フォローアップの簡略化: 通院が難しい患者さんには、オンライン診療や地域の診療所との連携を検討することも一つの方法です。
  5. 患者さんの声を聞く: 通院が難しい理由や不安を聞き、それに対する対策を一緒に考えることも重要です。

これらのアプローチを通じて、患者さんが術後のフォローアップを継続しやすくなると良いですね。定期的な通院は、白内障手術後の視力の安定と健康を維持するために欠かせないものです。患者さん自身の健康を守るためにも、ぜひ定期的な通院を続けていただきたいと思います。

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。