糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜疾患

[No.3216] 急性黄斑網膜症(Acute Macular Neuroretinopathy, AMN)は白血病で見られる変化です。

Acute_Macular_Neuroretinopathy。今年最初のWills Eye retina conference(現地時間水曜朝6時)を聞きました。

(図は別の出典から)借用。最初のケースは、白血病に伴う急性黄斑網膜症でした。急性黄斑網膜症(Acute Macular Neuroretinopathy, AMN は、白血病を含む全身疾患と関連することがある稀な網膜疾患です。ロート斑ではありません。この画像を覚えておけば今後は鑑別診断に挙げることができるでしょう。

急性黄斑網膜症(AMN)とは?

AMNは、黄斑付近の視野欠損(中心近くの暗点)が突然発症する網膜疾患です。主に若年から中年の成人に見られ、特に女性に多いことが知られています。

主な特徴

症状: 急性または亜急性の視力低下。通常片眼性ですが、両眼性の場合もあります。

臨床所見: 黄斑部に向かって楔形(くさび型)の暗赤褐色の病変が見られます。

画像所見: 光干渉断層撮影(OCT)では、外網状層や外顆粒層に高反射性が認められ、その後時間とともに菲薄化が見られます。

  • 白血病との関連

白血病は、以下のようなメカニズムを通じてAMNを引き起こす可能性があります。

  • 微小血管障害:白血病では、血液の粘稠度(ねんちゅうど)上昇や毛細血管閉塞が起こりやすく、それが網膜の虚血を引き起こします。AMNの病変は、深層網膜毛細血管網の虚血性障害が原因と考えられています。
  • 血液および全身的ストレス:白血病は全身性の炎症や低酸素状態を引き起こし、それが網膜血管機能の障害につながる可能性があります。
  • 治療関連の影響:白血病の化学療法やステロイド治療は、血管障害や虚血性変化を引き起こし、AMNのリスクを高める可能性があります。

診断

  • 眼底検査: 黄斑部の楔形の病変を確認します。
  • OCT: 網膜外層の異常を確認するために使用されます。
  • 蛍光眼底造影: 血管の漏出がほとんどないか軽度であることが多い。
  • 全身検査: 白血病のような基礎疾患を特定するために必要です。

治療

  • 特異的な治療法はなし: AMNは自然に回復する場合がありますが、虚血性損傷の重症度によって視覚予後は異なります。
  • 全身疾患の治療: 白血病が関連している場合は、適切な治療を行うことが重要です。
  • 支持療法: 視覚の回復状況や黄斑部萎縮などの二次的合併症の監視が必要です。

予後

  • 虚血が解消され、網膜の損傷がどの程度回復するかによって長期的な視力予後は異なります。白血病が関与している場合、早期診断と全身疾患の治療が重要です。
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