認知症患者の白内障手術体験記(4)「点眼時間なのになぜ電話してこないんだ!」(日刊ゲンダイ記事から抄出採録です。承前)
昨年秋、練馬区在住の富岡孝一さん(仮名・77歳)は白内障の日帰り手術を両眼とも受けました。2年前に「認知症1」の診断を受けており、手術を受けたクリニックの院長からは「認知症患者が手術を受けるには、ご家族の全面的な支援が必要です」と伝えられていました。
都内に住む長女の裕子さんは電話で点眼薬のサポートを行いましたが、3種類の点眼を左右の目に適切に行うのは、認知症の父にとっては大変な作業。順番を間違えたり、右左を取り違えることもありました。3人の子育てをしながら、裕子さんの生活は2カ月近く、父への電話サポート中心に。
ある時、電話を忘れた裕子さんに、父から「なぜ電話してこないんだ!」と怒りの電話が。裕子さんは「電話できるなら自分でやればいいのに(笑)」と苦笑します。
2カ月後の再診で、視力は大幅に改善。「月が美しく見える」と語った父の喜ぶ顔に、裕子さんも報われた気がしたそうです。ただし、この1カ月半で体重は1キロ減ったとか——介護の大変さを物語っています。
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