[No.3435] 眼瞼痙攣:原因、症状、治療について知っておくべきことすべて

眼瞼痙攣（がんけんけいれん）とは？原因・症状・治療について知っておきたいこと

眼瞼痙攣とは、まぶたの筋肉が自分の意志とは関係なくピクピクとけいれんしたり、強く閉じてしまったりする神経の病気です。多くは40～60歳頃に始まり、女性にやや多く見られます。命にかかわる病気ではありませんが、視界がふさがれることで日常生活に大きな支障をきたします。

主な原因

眼瞼痙攣のはっきりとした原因は分かっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。

• 脳の運動調節の異常：脳の「大脳基底核」の働きの乱れにより、まぶたの筋肉に異常な信号が送られてしまうことがあります。

• 遺伝的要素：家族に同じ症状を持つ人がいる場合、発症しやすくなることがあります。（清澤：いくつかの遺伝子異常が挙げられています）

• 目の刺激や薬の副作用：ドライアイや光過敏、また一部の薬の副作用（ベンゾジアゼピンなど）が誘因になることがあります。

• 神経の病気：パーキンソン病やメイジュ症候群などの一症状として現れることもあります。

主な症状

• まぶたのけいれんやまばたきの増加：初期は軽いけいれんですが、進行するとまぶたが閉じたまま開けにくくなることも。

• 光に敏感になる（羞明）：明るい光がまぶしく、けいれんを悪化させることがあります。

• ドライアイ症状：目の乾きや異物感が現れることがあります。

• 精神的影響：外出が億劫になる、うつ症状など、社会的な引きこもりに繋がることもあります。

診断方法

診断は眼科医や神経内科医による問診と診察を中心に行われます。必要に応じてMRIなどの画像検査で他の病気を除外することもあります。

治療法

眼瞼痙攣は完全に治すことが難しい病気ですが、症状を和らげる治療法がいくつかあります。

1. ボトックス注射（ボツリヌス毒素療法）

まぶたの筋肉に少量のボトックスを注射し、けいれんを一時的に止めます。効果は3〜4ヶ月持続し、多くの患者さんで症状が改善します。（清澤はこれを中心に診療しています。）

2. 内服薬

抗不安薬や筋弛緩薬などが使われることもありますが、効果は個人差が大きく、副作用にも注意が必要です。（リボトリールやアーテンなど、最小限で使います）

3. 手術療法

重症で他の治療が効かない場合には、けいれんに関係する筋肉（眼輪筋）を部分的に取り除く手術も（東京科学大美容形成外科などで）検討されます。

4. サポート療法

• 人工涙液や点眼軟膏で目の乾きを防ぎます。（涙点プラグも使います。）

• サングラスや遮光レンズは光への過敏を軽減します。（清澤は、特にオーバーグラス型の遮光眼鏡が有効と考えています。）

• ストレスマネジメント（ヨガ、瞑想、リラクゼーション法など）も症状緩和に効果的という人がいます。

生活上の工夫

• 支援ツールの活用：音声操作の機器や大きな文字の印刷物などを使うと生活がしやすくなります。

• 健康的な生活習慣：バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠は症状の軽減につながります。

• サポートグループの利用：同じ病気を持つ人との交流は心の支えになります。（眼瞼痙攣友の会や眼と心の健康相談室などが有ります。）

新たな治療への期待

近年では、脳への電気刺激（脳深部刺激療法）や遺伝子治療、非侵襲的な脳刺激技術などが研究されており、今後の治療の選択肢が広がる可能性があります。

まとめ

眼瞼痙攣は生活の質を下げる難しい病気ですが、現在ではさまざまな治療や工夫によって症状を和らげることができます。早めの診断と適切な治療、そして前向きな生活の工夫により、より快適な毎日を過ごすことが可能になります。不安な症状があれば、まずは専門の医師に相談してみましょう。