通年性アレルギー性結膜炎や鼻炎に対する対策をわかりやすく説明しています。
アレルギー性結膜炎と鼻炎のお子さんに ― 室内環境を整える具体的対策
アレルギー性結膜炎や通年性のアレルギー性鼻炎をお持ちのお子さんの診療では、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を調べる血液検査を行うことがあります。先日、あるお子さんでは、スギ・ヒノキ花粉だけでなく、ダニやハウスダスト(室内のほこりや繊維くずなど)に対しても強いアレルギー反応が見られました。
特異的IgE抗体の値が高いということは、その抗原に対して体が過剰に反応していることを意味します。つまり、アレルギー症状の出る原因が年中身の回りに存在しているということです。そこで、今回はご家庭でできるダニ・ハウスダスト対策を具体的にご紹介します。
室内のアレルゲンを減らすためにできること
1.掃除は「週1」ではなく「毎日」行うつもりで
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ハウスダストは床や家具の表面にすぐに溜まります。
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掃除機はHEPAフィルター付きのものを使い、可能なら毎日、最低でも週に2~3回。
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床だけでなく、カーテンの裾やベッドの下など、見落としがちな場所も念入りに。
2.寝具の清潔を保つ
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ダニは特に布団や枕、マットレスに多く生息します。
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布団・枕カバーは週1回以上、60℃以上の温水で洗濯を。
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防ダニカバー(高密度繊維)を使用すると、内部への侵入を防げます。
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布団は日干しもよいですが、乾燥機や布団乾燥機(+掃除機で吸引)の併用がおすすめ。
3.カーペットやぬいぐるみを減らす
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カーペットはダニの温床です。フローリング+ラグ無しが理想。
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やむを得ず使う場合は、洗濯可能な素材を選び頻回に洗濯を。
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ぬいぐるみも洗濯しづらいため、最小限にとどめ、洗濯できる物のみ置く。
4.湿度管理も忘れずに
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ダニは湿度60%以上で繁殖しやすくなります。
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室内湿度を50%前後に保つよう、除湿器やエアコンの除湿機能を活用してください。
5.空気清浄機を活用
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HEPAフィルター付き空気清浄機は、空中のダニ死骸・花粉・ほこりを取り除くのに有効です。
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寝室、子ども部屋などには優先的に設置を。
6.ペットとの距離感を調整
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ペットの毛やフケもハウスダストの一部です。
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可能であれば子ども部屋や寝室にはペットを入れないようにしましょう。
眼科医からのひとこと
目のかゆみ、充血、涙、くしゃみや鼻水が年中続くお子さんには、点眼薬や内服薬だけでは症状が十分に抑えきれないこともあります。その場合、生活環境そのものを見直すことが、治療と同じくらい大切です。
お子さんの笑顔と快適な生活のために、ぜひご家族全体で「アレルゲンを持ち込まない、溜めない、増やさない」工夫をしてみてください。
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