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[No.4269] 田の実 自由が丘店の閉店を惜しむ ― 地域に寄り添った「優しい店」の記憶

田の実 自由が丘店の閉店を惜しむ ― 地域に寄り添った「優しい店」の記憶

当医院の向かい(サンセットアレイ)にある「田の実 自由が丘店」が、2025年1月15日をもって閉店するとの知らせを受けました。6年と210日の営業に幕を閉じるとのことで、当院(開院4年)よりも少しだけ“先輩”にあたる存在でした。日頃から前を通り、気軽に立ち寄れる店として親しんでいた身としては、閉店は大変残念です。

田の実は、全国各地の“ちゃんとした食材”や“丁寧な手仕事”を届けることを理念としたお店でした。特に国産にこだわった果物や野菜、地域色の強い加工品が揃っており、スーパーでは見かけないような個性ある品が多かったのが特徴です。例えば珍しい産地の柑橘、希少な品種のリンゴ、季節ごとに並ぶ小規模農家のジャムや調味料など、ちょっとした贈り物にも向く良質な商品が多かった印象があります。田ノ実は“お仏壇のはせがわ”が展開する日本人の生活にある「祈り」を「食」からひもとく事業とのことで、今後はソラマチ店に集約されます。はせがわ 公式サイトへ

店内の雰囲気づくりにも独特のこだわりがあり、民芸品風の素朴で温かみのある食器や雑貨が並べられ、どこか“旅先の市場”に迷い込んだような気分を味わえる空間でした。器に興味のある方や、手仕事の品を好む方には特に魅力的な陳列だったと思います。

2階のカフェスペースも忘れがたい場所でした。看板メニューである「おにぎり定食」は、シンプルでありながら丁寧さが伝わる定番メニュー。季節の小鉢と味噌汁が添えられ、ゆっくりとした時間が流れる落ち着いた空間は、自由が丘の喧騒を忘れさせる憩いの場でした。私が伺ったときには、ランチ時にはお客様もそこそこ入っており、地域の方々に愛されているように感じていました。

それだけに、閉店の知らせは惜しまれます。近年は自由が丘でも店舗の入れ替わりが激しく、良いお店があっても続けることの難しさを感じます。田の実は「丁寧な暮らし」を提案する数少ないお店でした。地域に根ざした店舗が一つ消えることは、日常の風景が少し変わるようで寂しいものです。

6年と210日、地域に豊かな食と時間を届けてくださったことに感謝を申し上げます。店を支えてきたスタッフの皆様に心よりお疲れさまを伝えつつ、またどこかで田の実のコンセプトが息づくことを願っています。

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