白内障

[No.4462] Q:眼科で神経障害性疼痛を評価できますか?

Q:眼科で神経障害性疼痛を評価できますか?

A:一定の範囲で評価できます。ただし、血圧や眼圧のように一つの数値で測れるものではなく、症状の性質といくつかの検査結果を組み合わせて判断します。

神経障害性疼痛とは、炎症や傷が目立たない、あるいはすでに治っているにもかかわらず、神経の働きそのものの異常によって痛みが続く状態を指します。眼科では、検査では異常が見当たらないのに「目が焼けるように痛い」「ヒリヒリが続く」「風や光で強く悪化する」「ドライアイ治療をしても痛みだけが残る」「手術後に軽く触れただけで強い痛みを感じる」といった訴えとして遭遇します。これらは角膜や三叉神経といった感覚神経の過敏化、あるいは脳側で痛みが増幅される中枢性の変化として理解されます。

眼科で最も重要なのは問診です。痛みの表現(ヒリヒリ、ズキズキ、電気が走る感じなど)、誘因(風、光、瞬き)、時間経過、点眼や休息での変化を丁寧に聞くことで、炎症性の痛みか神経障害性の痛みかの見当がつきます。これはどの診療所でも可能で、実臨床では最も実用的ですが、患者さんの主観に依存する点は避けられません。次に、神経障害性疼痛の特徴を整理する質問票を用いることがあります。これは診断の補助には有用ですが、これだけで確定できるものではありません。

眼科特有の評価として角膜知覚検査があります。綿糸や簡易器具で角膜の感覚が鈍いか、逆に過敏かを調べます。外来で簡便に行えますが、反応はやはり主観的です。一方、非常に実用的なのが点眼テストです。表面麻酔点眼で痛みが明らかに軽くなれば末梢(角膜側)の関与が強いと考えられ、変わらなければ中枢(脳側)の関与を疑います。短時間で方向性を判断できるため、臨床ではよく使われます。併せて、涙液量や角結膜の状態を調べ、ドライアイや炎症が主因でないことを確認することも重要です。これは「原因がないこと」を確かめる意味で、診断の土台になります。

より専門的には、刺激に対する感覚を数値化する検査や、脳の働きを画像で調べる研究的手法もありますが、一般眼科の日常診療で routinely 行うものではありません。これらは、慢性の目の痛みが神経や脳のネットワークの問題である可能性を裏づける知見として位置づけられています。

まとめると、眼科で神経障害性疼痛は「ある・ない」を単純に決める病気ではありません。検査で異常がなくても痛みは気のせいではなく、神経の問題として説明できることがあります。問診、角膜知覚の評価、点眼テスト、眼表面の確認といった比較的簡便な方法を組み合わせることで、神経障害性疼痛らしさを見極めることは可能です。眼科は、原因不明の眼痛や強い羞明に対して、神経の痛みという視点を提示できる入り口の診療科であり、必要に応じて他科と連携しながら「痛みそのもの」を治療対象として考えていく役割を担っています。

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