白内障

[No.1566] iPS細胞由来角膜内皮代替細胞の移植実施:榛村重人氏ら

清澤のコメント:PRtimesによれば慶応大学榛村重人特任教授らが、iPS細胞由来角膜内皮代替細胞を水疱性角膜症の患者に初めて移植したことを発表した模様です。網膜系で始まっていたiPS細胞由来細胞の移植がまた一つ角膜でも実用化に近づいている模様です。人の角膜内皮細胞は生後の増殖がむつかしいことが知られている半面、神経のアクソンを他の細胞につなぐ必要もなく、その移植には使いやすい部分であろうと思われます。4月の日本眼科学会には関連発表は出されてはいないようです。

   ーーーーーーーー

iPS細胞由来角膜内皮代替細胞(CLS001)の1例目の移植実施

株式会社セルージョン
~短期安全性を確認、視力・角膜厚などの術後経過は改善傾向~

 株式会社セルージョン(本社:東京、代表取締役社長:羽藤 晋)は、第22回日本再生医療学会総会(開催地:京都、開催期間:2023年3月23日ー25日)において、共同研究先の藤田医科大学教授、慶應義塾大学特任教授の榛村 重人先生がiPS細胞由来角膜内皮代替細胞(以下、CLS001)を患者さまに初めて移植したこと(First In Human※、以下、FIH 試験)を発表した。

演題:iPS細胞由来角膜内皮代替細胞を用いた治療開発
英題:iPS-derived Cornea Endothelial Substitutes for Corneal Regeneration
講演日時:2023年3月23日(木) 8:30-10:30
シンポジウム名:感覚器系(視覚・聴覚)の再生医療の現状と未来
 本FIH試験(研究名称:水疱性角膜症に対するiPS細胞由来角膜内皮代替細胞移植の安全性及び有効性を検討する探索的臨床研究,)は、慶應義塾大学病院眼科において、角膜移植後に水疱性角膜症を再発された患者さまを対象に、CLS001 移植の安全性及び有効性を探索的に検討することを目的としています。
 日本再生医療学会における3月23日の研究発表においては、2023年1月に実施された第1回独立データモニタリング委員会で、術中及び術後3カ月の経過において有害事象は認めず安全性が確認されたこと、及び矯正視力、中心角膜厚、最小角膜厚は術後経過とともに改善傾向が認められていることが報告された
 セルージョンはiPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自の特許技術を基に、世界の角膜移植不足の課題解決をめざすCLS001の開発を進めている。今回の慶應義塾大学病院でのFIH試験の実施を受け、セルージョンが主体となって行う企業治験開始の準備を引き続き進めてゆく。
 なお、本FIH試験は日本医療研究開発機構(AMED)の再生医療実用化研究事業 多能性幹細胞(iPS/ES細胞)、体性幹細胞等を用いて、再生医療等安全性確保法に従って実施する臨床研究(研究開発課題名:iPS 細胞由来角膜内皮代替細胞移植の First-in-human 臨床研究、研究代表者:榛村 重人)」にて支援されている。

※ファースト・イン・ヒューマン(FIH試験):動物試験で安全性と有効性が確認された後、ヒトに初めて投与する段階の臨床研究または第I相臨床試験のこと。

[水疱性角膜症について]
水疱性角膜症は、白内障などの目の手術や遺伝性の要因により角膜の一番内側で角膜内の水分を適切な量に調節している角膜内皮細胞が減り、その機能に不具合がおきることで、角膜が水膨れし、混濁により視力障害を起こす病気。この病気は進行性で、治療せずに放っておくと失明にいたる。現在は正常な機能を持つ角膜内皮細胞を角膜移植で補う治療でしかこの病気を治療することはできない。しかしながら、他の臓器移植同様、角膜移植も深刻なドナー不足問題に直面している。日本にも1万人以上の患者がいると推定されており、また2013年に行われた世界的な調査では、世界中に1300万人ほどの角膜移植待機患者がいると報告されている。

[CLS001(よみ:しーえるえすぜろぜろいち)について]

CLS001は、さまざまな種類の細胞に分化することが可能なiPS細胞をセルージョンが持つ独自の技術により効率的に分化させて作り出した角膜内皮細胞の代替となる細胞。セルージョンは「iPS細胞が有する優れた増殖性」と「簡便な手技で属人的技術を不要とする細胞移植法」を組み合わせ、角膜移植適用症例の半数以上を占める水疱性角膜症に対する治療用再生医療等製品として、CLS001の開発を進めている。また、セルージョンは自らが主体となって行う日本での企業治験とグローバル地域での治験準備を進めています。

[セルージョンについて]
セルージョンは「ひとの可能性を再生する。」、「もっと自由で、もっと笑顔が見える世界へ。」をミッション・ビジョンに掲げる慶應義塾大学医学部眼科学教室発の再生医療ベンチャー。iPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自技術などの特許技術を基に、世界の角膜移植課題をめざすリードプログラムCLS001をはじ
め、最先端の再生医療技術でペイシェント・セントリシティの考え方に立った医療ニーズの提供をめざした研究開発を推進しています。

商号:株式会社セルージョン
代表者:代表取締役社長 羽藤晋
所在地 :東京都中央区日本橋小舟町8番6号
設立:2015年1月
URL:https://cellusion.jp/

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。