糖尿病網膜症・加齢黄斑変性・網膜疾患

[No.4599] 2、3月は血糖値が高い…冬の「乱視」には要注意 糖尿病網膜症を解説(日刊ゲンダイ自著記事)

2、3月は血糖値が高い…冬の「乱視」には要注意 糖尿病網膜症を解説

公開日:2026/02/27 06:00 

 2月は1年で最も血糖値が高くなりやすい。寒さで運動量が減り、食生活も乱れがちだからだ。
 糖尿病はさまざまな合併症を招くが、情報の7割を目から得る現代人にとって気になるのは「糖尿病網膜症」だ。
 その手前の段階で「乱視」がひどくなるケースもあるというから注意したい。自由が丘清澤眼科(東京・目黒区)の清澤源弘院長に話を聞いた。
「最近はGLP-1受容体作動薬などの新たな糖尿病治療薬の登場により血糖コントロールの質が大きく向上しました。これらの薬剤は、インスリン分泌の調節や食欲抑制、体重減少効果を通じて、従来よりも安定したHbA1c管理を可能にしています。その結果、以前に比べて糖尿病網膜症を発症する患者数は減少傾向にあります」
 不幸にして糖尿病網膜症を発症しても、いまは抗VEGF薬による硝子体注射がある。その普及により、網膜浮腫や新生血管をコントロールできる症例が増えており、視野狭窄や暗順応低下といったリスクを伴う汎網膜光凝固(PRP)療法が必要なケースや大がかりな硝子体手術に進む例は減少しているという。

 とはいえ、これは糖尿病と診断され、治療にまじめに向き合っている人のケース。「オレは薬なんかに頼らず運動食事で糖尿病を治す」と言って、これまで通りの生活習慣を続ける人にとって23月が危険な季節であることに変わりない。
■自覚症状が出る前に治療を
◆「なんとなく見えにくい」から始まる
 糖尿病網膜症は、高血糖が続くことで網膜の細い血管が傷つき、出血やむくみを起こす病気。初期は痛みがなく、日常生活で気付きにくいが、患者が最初に感じる違和感には傾向がある。清澤院長は、視界のかすみ、細かい文字の見えにくさ、暗所での見えづらさ、黒い点や糸くずが浮かぶ飛蚊症などを挙げる。これらは一時的に改善することもあり、「疲れ」と誤解されやすいことが発見の遅れにつながる。
◆進行すると生活に大きな支障が出る

 病気が進むと網膜の血管が詰まり、新生血管が生じる。これらはもろく破れやすいため、大きな出血を起こし、視界が急に暗くなる、カーテンがかかったように見えるといった症状が現れる。さらに進行すると網膜剥離を起こし、失明に至る危険もある。糖尿病網膜症は国内の中途失明原因の上位であり、早期発見が極めて重要だ。

 高血糖が続くと、乱視が強くなったように感じる人もいる。高血糖が続くと水晶体に水分がたまって形がゆがんだり硬くなったりする場合がある。やがてピントが合いづらい、二重に見える、にじむなど「乱視のような見え方」が起こることがある。血糖値が安定すれば改善するが、もともと乱視の人は初期症状を見逃しやすいという。

「乱視は、角膜や水晶体の形が不規則なため、網膜上に正しく像を映し出せずに視界がぼやけたり、ゆがんだりする状態をいいます。中高年は加齢による角膜や水晶体の弾力の低下や形の変化、眼瞼下垂や眼瞼のたるみなどからの圧力による角膜などの変化が原因で乱視になることがある。急にメガネが合わなくなった、という中高年のなかにはまれに急激な高血糖による乱視が原因というケースもあるのです」
◆早期発見のためにできること
 糖尿病網膜症は、自覚症状が出る前に治療を始めることが最も効果的だ。年1回以上の眼底検査を受け、血糖値・血圧脂質を適切に管理することが欠かせない。適度な運動とバランスの良い食事を心がけ、2月のように血糖値が乱れやすい時期は特に注意したい。視界の変化は小さなサインであり、放置しないことが大切だ。

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