眼瞼疾患

[No.3036] 「物貰い」として知られる「霰粒腫」と「麦粒腫」の診断と治療

「物貰い」として知られる眼瞼の炎症性疾患には「霰粒腫」と「麦粒腫」があります。これらがある程度の大きさに成長した場合、外来手術での切除が行われ、内容物の排出も含まれます。この記事では、「物貰い」の特徴、診断、鑑別、切除条件、処置の概要、術後の経過と注意点について説明します。


物貰いの症状と診断

霰粒腫(chalazion):
霰粒腫は、眼瞼のマイボーム腺が慢性的に炎症を起こすことで生じ、感染性のない硬いしこりとして現れます。多くの場合、痛みは伴いませんが、大きくなると視力に影響を与えたり、まぶたの腫れが目立つことがあります。触れると硬いしこりが感じられ、場合によってはまぶたに赤みが出ることもあります。

麦粒腫(hordeolum):
麦粒腫は、細菌感染が原因で急性の炎症を引き起こすもので、痛みを伴う赤いしこりが眼瞼にできることが特徴です。内部に膿が溜まり、時には皮膚が破れて膿が排出されることもあります。急速に進行するため、早急な治療が必要です。

鑑別診断

霰粒腫と麦粒腫の鑑別診断は、発症のメカニズムや症状の進行速度に基づいて行われます。霰粒腫は非感染性で慢性の経過をたどり、硬く無痛である一方、麦粒腫は感染性で急性の経過をたどり、痛みを伴い柔らかいしこりとして触知されます。診察時の触診は鑑別に有効です。まれに悪性腫瘍や脂腺癌などが物貰いと誤認される場合があるため、治療に反応しない持続的な腫れには追加の検査が必要です。

切除の条件と処置の概略

適応基準:
自然に治癒しない、または再発が多い場合や、視力に支障をきたすほどの大きさになった場合には、外来での切除を検討します。特に霰粒腫は自然に消失することが多いものの、長期間残存したり増大した場合には切除が推奨されます。麦粒腫でも、抗生物質治療が効果を示さず腫れが続く場合には切開して膿を排出する処置が行われます。

切除手順:
切除手術は局所麻酔下で行われ、短時間で完了します。霰粒腫の切除では、まず局所麻酔を施し、まぶたの内側から切開して内容物を排出します。丁寧に膿や脂肪の塊を取り除き、マイボーム腺の詰まりを解消します。麦粒腫の切除では、膿を出すための切開が行われ、感染源を除去します。

処置後の経過と注意点

処置後は腫れや軽い内出血が見られることがありますが、数日で改善します。手術後の感染予防として、抗菌薬の点眼や軟膏が処方されることが一般的です。また、再発を防ぐためにはまぶたの清潔を保ち、マイボーム腺の健康維持を意識したケアが推奨されます。例えば、マイボーム腺を温めるホットアイマスクや軽いマッサージが日常的なケアとして効果的です。

日常生活での注意点:
手術後は、患部を触らないよう数日間気を付け、化粧やコンタクトレンズの使用は控えることが推奨されます。また、感染予防のため、タオルの共有を避け、頻繁に洗顔を行うよう指導します。腫れや痛みが長引く場合は再診を受けるようにしましょう。

まとめ

霰粒腫と麦粒腫の切除は比較的簡単な外来手術で、痛みや腫れを軽減し、再発防止にも効果的です。診断と鑑別を正確に行い、適切なタイミングでの処置が重要となります。

成人の霰粒腫を切除するときの説明と処置の手順は?

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