網膜静脈閉塞など眼底疾患で網膜出血を示すものに対しては内服薬が記載されていますが、外傷後の眼瞼皮下出血や、結膜下出血などに対しては止血剤の内服はあまり公式には指導されていないようです。眼窩骨折などが無い場合で外傷後の眼瞼皮下出血に対して、さらなる出血を押えたり、血液の吸収を促す目的で使用できる方法はあるでしょうか?(この図は眼窩骨折例です)
◎ 外傷後の眼瞼皮下出血に対して、血液の吸収を促進する内服薬の使用は、厳密には根拠に基づいた標準的な治療法として確立されているわけではありませんが、以下のような薬剤が使用される場合があります。眼科医は状況に応じた処方を考えるでしょう。
1.ビタミンC (アスコルビン酸)
- 効果: コラーゲン合成を促進し、血管の修復を助けると考えられています。これにより血液の再吸収が間接的に促進される可能性があります。
- 適応: 一般的に皮下出血の吸収を促す目的で用いられることがあります。
2. ビタミンE(トコフェロール)
- 効果: 抗酸化作用により、細胞膜の安定化と炎症軽減が期待されます。これにより循環改善と吸収促進を補助する可能性があります。
- 注意点: 大量摂取は副作用を引き起こす可能性があるため、適切な量を守る必要があります。
3. トラネキサム酸(抗プラスミン薬)
- 効果: 抗炎症作用や止血作用があり、出血の進行を抑えることができます。皮下出血の吸収を促進するわけではありませんが、初期段階で出血を止める目的で使われることがあります。
- 注意点: 深部静脈血栓症(DVT)や脳血栓の既往がある場合には禁忌です。
4. 循環改善薬
- カリジノゲナーゼ(例:カリクレイン)
- 微小循環を改善し、血液吸収を促進する可能性があります。ただし、外傷後の皮下出血に対する適応外使用となる場合があります。
- ベニジピンやニフェジピン(Ca拮抗薬)
- 末梢血流改善のために処方されることもありますが、眼瞼皮下出血に対しての使用は一般的ではありません。
5. 漢方薬
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 血行を促進し、瘀血(おけつ)の改善を目的とする漢方薬です。
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 血流改善や瘀血を含む症状に適応されることがあります。
6. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
- 効果: 痛みや腫れを軽減します。ただし、炎症を抑えるだけで血液の吸収を直接促進するわけではありません。
注意点
- 自然治癒が基本: 外傷後の眼瞼皮下出血は通常1~2週間で自然に吸収されます。
- 原因に応じた治療: 外傷の原因や状態を十分に評価し、必要に応じて画像検査などで重篤な障害を除外する必要があります。
- 薬剤の副作用: 上記薬剤の中には禁忌や副作用があるため、医師の指導のもと使用することが重要です。
治療を補助するアドバイス
- 冷却(24~48時間以内)とその後の温罨法(48時間以降)を適切に行う。
- 安静を保ち、再出血を防ぐ。
必要に応じて眼科や形成外科医の診察を受けることをお勧めします。
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